東南アジア農村放浪記

途上国の農村に訪れたときの体験記、学びを綴る

タイを訪問~持続可能な開発とは~【第3弾】

タイ訪問記の第3弾として、タイの農村を訪問し、起業家と話をする中で持続可能な開発について考える機会があったため、「ソーシャルビジネスの持続可能性」について綴りたいと思う。

 

自分自身の話をすると、 農村での雇用創出のため現職を退職してソーシャルビジネスの立ち上げを考えていた。
その際、事業コンセプトはもちろん、事業計画として、売上や利益の拡大見込みや損益分岐点などを考慮して検討していた。
そうした基準で事業計画を考えると、どうしても商品単価をどうやって上げるか、どうやって売上を増やすか、どんなサービス/商品であれば競合との差別化を図れるかというにばかり目が行ってしまう。
そうすると、机上の空論でとどまり、なかなか前に進めることができなかった。
自分が目指したい事業としては、東南アジアにおける農村での雇用創出が軸である。
一方で、雇用創出実現のためにどのような商品が作りたい、サービスを提供したいという点ではほとんどこだわりはないため、決定打が無く、なかなか前へ踏み出すことが出来なかった。

 

そんな心境の中でツアーに参加し、実際に農村で「FolkCharm」という会社を立ち上げ、事業(ソーシャルビジネス)を運営する起業家(Ms.Pasty)と話をする中で新たな知見を得ることが出来た。

http://www.folkcharm.com/home-1.html

f:id:goldenfish8:20170919143242j:plain                                                      綿の種の取り方をレクチャーする起業家(Ms.Pasty)


まずは起業の背景について聞いてみた。
過去はグローバルに展開するNGOで有給職員として働いていたそうである。
数多くの企業や個人寄付会員、国からの助成金を募り資金が潤沢なNGOであったためか、タイの支社においては、都市バンコクの高層ビルの一角に事務所を構え、移動の際にはタクシーを使うことが常であった。

そのような支援金の使い方や現場を間近で見ることのできない仕事に疑問を持ち始め起業を志したそうである。
起業に踏み切った当初は順風満帆とは言えず、投資家から募った資金を全の遣い方を誤り全て失ったという経験もしたそうである。

そんな苦い経験をしつつも、起業3年目の現在では月商 200,000THB(60万円強)を超える月もあり、雇用者数は20人以上を実現している。

 

そんな彼女は30歳とは思えないくらい考えがしっかりしており、本当に自分にとって必要なものは何か、自分のコアは何なのかを追及し、不必要なものをそぎ落とし、自分にとってかけがえのない本当に必要なものを探しているそうである。(彼女は英語で「Soul Searching」と表現していた。)

日本語では「足るを知る」という言葉がしっくりきたため、ツアー参加者の中ではいつしかそれが合言葉になった。

 

そんな彼女に、現在行うソーシャルビジネスの持続可能性についてのKPI(売上や利益、損益分岐点などの成果指標)を尋ねてみた。
すると、彼女の口から「持続可能性については売上や利益よりも、もっと大事なものがある」と言って熱心に語ってくれた。
売上や利益を追い求めるより、まずは事業へ共感してくれる人々を増やし、一人でも多くの心の中に「事業コンセプト」を刻むことが重要である。それは、仮に事業がうまくいかなくなったとしても「事業コンセプト」に共感してくれる人々が、場所や形を変えてその事業コンセプトを継承して新たな事業を起こすため事業は持続していくという考えである。
それは損益や売上などの決算上の指標だけではソーシャルビジネスの持続可能性は測れないということを意味する。
実際に起業し、社長として事業を担う彼女の言葉には説得力はもちろん、事業に対する責任や覚悟が強く感じられた。

f:id:goldenfish8:20170919144911j:plain                     綿の種を取ったコットンを手に笑顔の農村の女性

 

自分自身振り返ってみると、4年半の間、民間企業で勤務していたためか、事業を立案する際には、決算上の指標をもとにソーシャルビジネスの事業計画を練っていた。

結果、9月末で現職のメーカーを退職するが、農村での起業という選択肢ではなく、グローバルに展開する総合コンサルティングファームにて勤務し、さらなるスキルアップを目指すという結論に辿りついた。

自分としては、ソーシャルビジネスの事業内容に強いこだわりや思い描いているものがあるわけではないため、0→1の起業より、むしろ1→100にしていく事業支援の方が向いているように感じているため、起業という選択をしなかったことは間違いではないと感じている。

 

一方でMs.Pastyのようなソーシャルビジネスを手掛ける起業家は世界には数多くいる。

そのため、今後は、仕事のスキルや自己資金を活用して、ソーシャルビジネスを行う事業のサポートをしていきたいと考えている。

 

そんな中、日本であるNGOと出会い、プロボノ(職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般)として活動を開始する予定である。。次回は、その団体の紹介や支援内容について紹介したいと思う。