農情人:農業は「創造業」~Metagri(メタグリ)実現へ~

新たな農業のカタチの実現を目指して「Metagri(メタグリ)」をキーワードに活動

ついにスタート! 独自のクラウドファンディング

初めての挑戦はやっぱり不安。。。
今日からクラウドファンディングサイトを使わずにクラウドファンディングにチャレンジします。

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クラウドファンディングスタート!

三浦農園クラウドファンディング

https://eat-note.com/crowdfunding1/miurafarm/


今回、クラウドファンディングを始めるに至った背景や、クラウドファンディングサイトを使わない理由を綴りたいと思います。
農業に興味のある方はもちろん、これからクラウドファンディングにチャレンジしたいと考えている方に読んで頂けると嬉しいです。

villagehunter.hatenablog.com

 

目次

 

美味しすぎるトマトをみんなに届けたいがモチベーション

今回のクラウドファンディングの主役は、山口県宇部市で8年前から就農している三浦さんである。
三浦さんとの出会いは今から半年以上前の、2020年11月に遡る。
きっかけは、私自身、農林水産省の事業で、「移住定住、新規就農に係るインターンシップ」に1ヶ月にわたって参加したことである。

news.tiiki.jp


そのインターンシップでは、「楠こもれびの郷」という直売所や温泉やカフェを運営する施設に寝泊まりして、農業を軸に研修を受けた。


www.youtube.com


そんな中、宇部市内でIoTを駆使したスマート農業に従事する方を紹介頂き、1時間の講座を受けた。その講座を担当頂いたのが今回の主役となる三浦さんである。
講座では、トマトがすくすく育つために欠かせない栽培環境づくりを教えて頂いた。特に、トマトの樹の成長に欠かせない「CO2(二酸化炭素)」をデータに基づいてどう散布するかを熱く語っていたことが印象深い。
そんな、トマト一筋の三浦さんの作るトマトは、陳列後すぐに売り切れたり、直売所に指名買いする方が多くいることは地元の宇部市内では有名な話であった。

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スマート農業を推進して美味しくて甘いトマトを生産

 

毎年問題にぶつかり、順風満帆とは言えない就農後の人生

そんな誰からも愛されるトマトを作る三浦さんの農業人生は、実は順風満帆とは程遠いのが実情。それは3つの大きな悲しい問題にぶつかりながらも乗り越えてきた過去があるからである。
(波乱万丈な農業人生! 三浦さんのトマトの酸味は三浦さんの汗と涙の結晶と言っても過言ではないかもしれない。)

交通事故で収穫できず泣く泣く廃棄に

三浦さんのトマトはほぼ全てが宇部市内で売りさばいている。販路は、市内のスーパーや直売所やレストランであり、基本的には三浦さんやご家族が販売先まで自分で配達している。なぜなら、農協(JA)を通していないため、物流は自身で担う必要があるためである。
出荷の時間は早朝であったり、深夜であったり、販路先のニーズに合わせて柔軟に対応が必要。そんな配達途中の最中、後ろからの車に追突されて骨折と打撲。通院を余儀なくされた。
農作業は家族の手を借りながらも、基本は三浦さんメインで担っている。そのため、通院により毎日の作業や農薬散布ができず、トマトが病気になり思うように栽培できず、大事な収穫時期を逃してしまった。ついには、事故の保険も大して下りず、トマトの収穫も逃した結果、農業の収入が激減した。

病害の侵入によりハウス内のトマトが大ダメージ

また、別の年には、三浦農園がIoTを取り入れていることもあり、先進農業に興味をもっている農家から「見学させて下さい」と申し込みがあった。
三浦さんも農業を担う方々と切磋琢磨したいという想いもあり、農家をどんどん受け入れていた時期がある。しかし、それがアダとなり病害虫の持ち込みを許してしまった。無造作に受け入れた結果、ハウス内にある異変が起こった。
トマトの樹が萎れはじめ、防除のために農薬を散布しても、気付いた時には「時すでに遅し」。泣く泣く枯れていく様子を呆然と眺めることしか出来なかった。
その結果、収量は例年の半分くらいまで落ちる月もあり、収入に大ダメージを与えてしまう。

トマトの土壌の中にも病害が。。。

視察で病害が持ち込まれたことの反省を生かして、それ以降は視察の受け入れは、極力、断るようにした。
しかし、病害は人以外からも侵入することに。
それは、トマトにとって欠かせない土壌からの侵入である。
実は昨年の2020年より、毎年土壌を購入していた業者が販売できない状況になり、別業者へ切り替えた。
土壌の値段は例年より安くなったが、その土壌の品質は見るからに低かった。
しかし、定植の時期も差し迫っている中で、そこから別の土壌に切り替える時間の猶予もなく、ハウス内に土壌を敷き詰めて行った。

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三浦農園のハウス内の様子

土壌の準備も整い、トマトの苗を定植していざ生育に入っていくときに異変が発生。
前回の病害の侵入同様、枯れはじめるトマトの苗がちらほら現れるようになる。
反省を生かして、萎れ始めた苗はすぐさま抜いて処分して防除を徹底した。
結果的には850本ある苗のうち、200本ほどは除去せざるを得ない状況になる。
除去した苗の数はそのまま収量に影響してしまう、即ち、農業収入の激減に繋がる。
詳細な金額はお伝えできないが、今年、得る予定であった農業収入のうち、70~80万円の損失に繋がった。

 

来年こそは万全を期して美味しいトマトを全国に届けてほしい

かなりネガティブな流れになってしまったが、来年こそは準備をしっかりと整え、今までの逆境をばねに「儲かる農業」の実現を私もサポートする。
そこで、三浦さんの目標の一つである、「反収(1,000m2)1000万円」を実現するために、トマト増産のクラウドファンディングを実施する。

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クラウドファンディングスタート!

https://eat-note.com/crowdfunding1/

 

農業において、反収というと作物によって大きく異なるが、お米の場合は10~20万円、野菜の場合は100万~200万円、高単価のイチゴであっても数百万円の世界である。

そんな「儲からない」ことが一般化している農業界において、三浦さんは次世代を担うお子様に「農業ってカッコイイ」と言ってもらい、儲かる農業を継承していきたいという熱い想いをたぎらせている。

かなり壮大なテーマではありますが、もし、賛同頂ける方や一度トマトを食べてみたい方はご支援いただけると幸いです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

トマトズキッズ(トマトが好きで次世代を担うお子様)プロジェクト始めます!

今回は、山口県宇部市で美味しいトマトを追及し続け、お子様に大人気のトマトを作る農家さんの新たな取り組みを紹介します。
目次

  

売り切れ続出! 食べたくても食べられないトマト

農家の三浦さんは元々はサラリーマンとして働いていたが、今から8年前より就農。

トマトは7年前から独自の栽培ノウハウで作り始めた。

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みずみずしく厳選された完熟トマト

ノウハウを蓄積するために、システムを導入して、甘くて美味しいだけではなく、持続可能な農法にも取り組む。

そんなトマトは、なんと郵便局で販売。
無人販売に向けた新たな取り組みにも挑戦。

(現在、生産が追いつかず売り切れ続出。。。)

ubenippo.co.jp

お客さんはトマトを買うために郵便局の開店前から並んでいる。
最近では事前に整理券が配られるほどの賑わいぶり。

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郵便局でトマト

その背景には、出荷するトマトに三浦さん独自の厳しい基準を設けている点である。
例えば、色や形や完熟具合など三浦さんだけが見極めることができる厳選ポイントがいくつもある。
その基準をクリアしないトマトは規格外として、加工品などに回している。
スーパーでは手に入らない、厳しい基準を通過したトマトだからこそ、ここまで顧客を惹きつけているのかもしれない。

 

お子様に大人気の理由はおやつ代わりになるあま~いトマト

また、顧客からよく聞く言葉がある。

それは「わざわざ遠方からこのトマトを買いに来るのは孫や家族と美味しさを分かち合える」という言葉である。

特に、お子さんやお孫さんが喜んで食べるという次のような声を多数聞く。

「孫がおやつよりもトマトを食べるようになった」

「子どもはトマト嫌いだったが、今ではトマトは生活に欠かせなくなった」

 「冷蔵庫にトマトが入っていないと子どもが騒ぐようになった」

「娘が何度もおかわりをねだるほど大人気のトマトだった」

 

トマトを食べた人の驚きの声

トマトを食べたご本人の方々からの喜びや驚きの声をご紹介します。
  •  想像をはるかに上回る美味しさ。自分の常識の狭さを痛感した。(村中様)
  • 元々トマトが大好きで、皮の硬さが程よく食べ応えがある。とくに、皮の甘さが病みつきに。(加藤様)
  • オリーブオイルと一緒に食べたが絶妙なマッチング。妻も感動するほどの美味しさだった。(小川様)
  • 出産お祝いトマトありがとう♪ 真っ赤で身と味が詰まって美味しかったです。(米澤様)
  • 生のままで食べるのが一番活きるトマトで皮の周りが一番美味い。妻にプレゼントしたら「甘っ、うまっ!」と美味しさに驚愕。(樋口様)
  • 奥さんとそのまま&オリーブで頂いて、激甘の美味でした。(小倉様)
  • 奥さんの実家へ手土産で持っていき、「美味しい」と大好評でした。(上野様)
  • お世辞抜きで本当においしく、ほかのトマト食べられなくなるほど濃厚でとても美味しいトマトでした。(松尾様)
     

実現したい夢は「次世代を担うトマトズキッズ」を増やすこと

そんな山口県内外問わず大人気のトマトをもっと多くの方々、特に次世代を担うお子様に新たなトマトの可能性を伝えたい。
トマトは言わずと知れた、リコピンやビタミンなどの栄養が豊富な健康野菜!

甘くて美味しいトマトをきっかけに野菜好きなお子様を増やして、健やかな毎日を送るきっかけを作りたいと三浦さんは熱い想いをたぎらせる。

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トマトハウスを説明する三浦さん

食べるだけではなく、次世代を担うお子さんたちに三浦農園が取り組む先端農業に触れる機会を提供し

「農業って実はカッコイイことを伝えて、自分たち世代では無理であろう革新を起こす世代を作り出す」

ことを夢を掲げている。

そのために、三浦農園では、栽培ノウハウを磨き続けて、カッコイイ農業を担うトマトズキッズ(トマトが好きで次世代を担うお子様)を増やすことがミッションである。

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クラウドファンディングスタート!

https://eat-note.com/crowdfunding1/

 

最初の超えるべき壁は3000万円の資金を調達

現在の栽培規模では山口県内で売り切れてしまうため、全国にトマトズキッズを増やすためにはトマトハウスの増設が不可欠。

しかし、誰しもが食べて感動するトマトを作るためには、どうしてもトマトにとって心地よい良い環境を作り上げることが必要。

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データ農業で最高峰のトマトを

そのために、3000万円という資金の調達が立ちはだかる大きな壁である。

今回、そんな資金調達の一つの取り組みとしてクラウドファンディングを立ち上げる。

公開は6/15を予定しているので乞うご期待ください。

 

トマトズキッズへ向けたリターンのご紹介

今回、トマトズキッズの仲間を増やすために、三浦農園のストーリーが詰まった「特別な絵本」を準備します。先着でトマトの絵本にお子様が登場するかも♪

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トマトズキッズ専用絵本

また、トマトの苗木に命名する権利も提供予定してますので、お子様のお名前を付けることも可能です!

 

目玉のリターンは「パスポートマト」

今回、トマト増産に向けて高額出資して頂けるサポーター様へのリターンとして「パスポートマト」の発給を予定している。
コロナ禍で海外に行けない中、気持ちだけでも非日常を味わって頂きたい。
そんな想いで「パスポートマト」を発給し、一度食べたらもう戻れない、トマトの先行予約と割引付与を予定。

(数が限られている中でも最優先に出荷します。) 

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海外に行けなくてもパスポートマトがあれば・・・

 

出資額とリターンは次のようなものを考えています。

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リターン一覧

 もしこんなリターンがあったら良いななど、ご意見あれば下記のフォームから教えて頂けると助かります。

トマトズキッズのプロジェクトに共感頂ける方や応援頂ける方のご参加お待ちしております。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

コロナ禍を追い風に! 上場したらTシャツを脱ぐ覚悟の女性起業家

みなさんは「食べチョク」という言葉は聞かれたことがあるでしょうか?

www.tabechoku.com

食べチョクを運営するビビットガーデンの代表である秋元さんは私と年齢が近いこともあり勝手にライバル視しています。
そんな「食べチョク」は最近、カンブリア宮殿でも取り上げられて、日に日に注目と勢いを増しています。

www.tv-tokyo.co.jp


今回は代表の秋元さんが執筆された著書「365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘」をもとに私との共通項について綴ります。

 

目次

 

まずは退路を断つことがスタート

秋元さんはDeNAで働いていたが、農業ビジネスをやりたい一心で退職を決意。
とは言いつつも、副業で農業ビジネスを立ち上げていたわけではなく、退職してから事業構築に取り組んだ。
もちろん農業ビジネスからの収入はゼロだったので、DeNAのキャリアを生かして週2日はフリーでWEBマーケティング領域でコンサル案件をこなしていた。
逆に言うと、コンサル案件以外の時間である残りの週5日は休みも無く、1秒でも早く農業に還元できるサービスを考えていたとのこと。
私も2020年11月にあてもなく独立して、農業コンサルタントとして収入を確保しながら、新たなサービス立ち上げに尽力しているので秋元さんの過去の頑張りには共感せざるを得ない。
私自身、独立して半年ではあるが、退路を断つと自然に新たな道を開けることは実感している。
サラリーマンとして働いているときには出会えなかった人や場所に行くきっかけを得ることができている。
恐らく、秋元さんも退路を断ったからこそ、いまのような「食べチョク」という大きなサービスを作れていると感じる。 

「IT」という言葉に嫌悪感を示す農家さん

私もそうであるが、秋元さんもDeNAというキャリアを経ているので「農業×IT」がキーワードであった。
しかし、「ITの知見を生かして事業をしたい」と農家さんに伝えると拒否反応を示す方が多かったとのこと。
背景として、農業ビジネスに可能性を感じて参入した多くのIT企業が。収益化が見えず2~3年で撤退したことがある。
そこで秋元さんは「IT」というキーワードを捨てて、自分自身が農家出身で農業のことをもっと知りたいという気持ちで農家さんに訴えかけていく。
その結果、少しずつ農家さんの信用を積み上げていき、今では4000軒を超える生産者が「食べチョク」へ出品している。
私自身、「IT農人(イートノート)」という社名で事業構築に取り組んでおり、ITというキーワードを軸に活動している。
5年前と時代が変わってきているのか、一緒に活動している農家さんに「IT」にアレルギー反応を示す方はいない。
一つ大きな理由としては、私が繋がる農家さんはClubhouseやInstagramのようなITサービスで繋がっていることが背景にあることは間違いない。

 

サービス開始初月は売上10万円

「食べチョク」は2017年5月にサービスの原型が完成した。
驚くべきは、サービス開始時期にPRの大手である「PR Times」でランキング1位になり、FacebookTwitterで話題になった。
しかし、サービス開始初月は売上はふたを開けてみると10万円、手数料20%のため手数料収入はたったの2万円。
当日、出品する農家さんは20軒ということもあり商品ラインナップが限られたこともあるかもしれないが、かなり厳しいスタートを切った。
気持ちを切り替えて正式なリリースを2017年8月に見据えて47都道府県の農家さんに協力を仰いでいく。
結果、3倍の60軒の農家さんの協力を得るところまで持っていく。
しかし、現実は残酷で秋元さんの努力を裏切る形となる。
なぜなら、8月の売上はたった4万円、手数料収入は8千円。 

諦めなければ失敗は確定しない

そんな厳しい現実を目の当たりにしても秋元さんは諦めなかった。
それはご自身の原体験がエネルギー源になっていると想像できる。
実家の農業が廃業するという悲しい過去を背負い、同じ想いをする人を一人でも減らしたいという強い志があった。
そのため、十字架を背負うように、雨の日も冬の日も半袖のTシャツを着続けて現場主義を貫いた。
結果、現在では8億円の資金調達にも成功し、売上も数十億を実現し、上場する可能性が大きく開けてきた。
カンブリア宮殿では「上場したときには一つの通過点としてTシャツを脱ぐ」と仰っていた、
上場はゴールではないと思うが、一つ世に成果を認められているという証明になる。

 

IT農人は食べチョクを上回るサービスを作る

冒頭でも少し言及したが、私は「食べチョク」を勝手にライバル視している。
私の祖父母は米農家で父は農家の下で育ち苦労した過去がある。
そのため、父からは「農家にだけは絶対になるな」と口酸っぱく言われてきた。
しかし、健康に生きるために絶対に必要な食の生産に携わる農家さんが儲からない仕組みはおかしい。
私もそんな常識を覆したいという想いは秋元さんと同じである。
そのため、Farm-Codawaryというサービスを立ち上げて、農家さんの出品手数料をゼロにすることを一つの差別化ポイントとする。

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Farm-Codawaryのポジショニング

もちろん、手数料をゼロにしたからといって、「食べチョク」のサービスを超えられるとは思っていない。
こだわりを持って農作物を作った農家さんの商品を高単価で売れる仕組みを作ることが次に重要なテーマとなる。 

villagehunter.hatenablog.com

現在では6軒の生産者から出品したいという希望を頂いている。
食べチョクが現在抱える4000軒とは程遠いが、少しずつ実績を積み重ねて頭角を現していきたい。

まだまだ微力ですが、応援いただけると幸いです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

ミドリムシ V.S. ハエ~世界を救うのはどっち?~

ミドリムシを構成する油分で飛行機が飛ぶ世界がやってくる!?
これは「ユーグレナ」という東大発ベンチャーが実現しようとしているプロジェクトの一つである。
実は既にミドリムシの燃料で走る「環境にやさしいバス」が埼玉県内で運行している。

emira-t.jp


今回はそんなミドリムシをテーマに書かれた著書「ミドリムシ博士の超・起業思考」に沿ってミドリムシの可能性を紹介する。
持続可能な社会の実現を望んでいる方はもちろん、新たな事業を作って起業したいという方に一読いただけると幸いです。

 

目次

 

ハエとミドリムシはどっちが世界を救うか?

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持続可能な社会実現に向けて

以前、ブログでハエを活用して有機肥料を生産する「ムスカ(MUSCA)」という会社を紹介した。

villagehunter.hatenablog.com

当社はハエを農業分野における肥料と畜産分野における家畜飼料の2軸で活用するという発想で事業を構築している、
一方でミドリムシは「バイオマスの5F」というキーワードで肥料と飼料に追加して3つの用途で事業を構築するべく実証実験を進めている。
「5F」は後段で詳しく説明するが、結論から言うとミドリムシは長期的にはハエを大きく上回る潜在能力を秘めている。
そのため、中距離走ではハエの方が勝る可能性はあるが、長距離のマラソンではミドリムシに軍配が上がると考えている。
著書では2100年にはミドリムシの燃料で宇宙に行き、宇宙での生活でもミドリムシが循環社会に大きく貢献すると公言している。

 

バイオマスの5Fとは

バイオマスの5F」とは次の5つのFから成り立つ利用方法である。
(1)Food(食料)
(2)Fiber(繊維)
(3)Feed(飼料)
(4)Fertilizer(肥料)
(5)Fuel(燃料)
番号が上がるほどコストダウンが必要とされる。
そのため、ユーグレナはまずは(1)Food(食料)を最初のマネタイズのための事業としてスタートしている。
ユーグレナの創業は2005年であり、量産化の研究を進めて食品での事業化の目途がたち、2012年に上場している。
そして、一番の難関である(5)Fuel(燃料)を実現するため、株式公開で調達した資金のうち70億円もの巨額投資を大規模プラントに投下している。
年商120億の会社が銀行融資無しで実施するというかなり思い切った投資である。

なぜそんな無茶な投資をするのか?
年商の半分を超える投資は一般の企業からしたら有り得ない会社そのものを揺るがすレベルの話である。
売上高設備投資比率は全業種の平均で7%程度が一般的である。

zaimani.com

ユーグレナは60%近くに達するベンチャーとしてはかなりの思い切りである。
しかし、これはギャンブルでもなく勝算ありきの堅実投資だと当社の経営陣は考えている。
著書の重要なエッセンスとして、「小さな実験でPDCAを高速回転すること」を研究の軸に置いている。
そのため著者の鈴木さんは1カ月当たりでは少なくとも100通り近い検証をして研究を前に進めている。
大事なポイントとして下記の2つの結果しか出ていない実験は、そもそも大規模な実験に移すことはない。
・失敗したときに原因が特定できなかった実験   
・「100回やって数回成功した」という段階の実験

今回、大規模プラントの実証に移したということは、上記の2つがクリアできた証。 

www.kanaloco.jp

 

FoodとFuelだけでないミドリムシの可能性

実は、「ムスカ」と同様の考えで、有機肥料への活用に向けた実験も実施している。

musca.info


明治大学と共同でミドリムシから油脂を取り出した残りカスをいちごの有機肥料として栽培実験。
結果としては生育も良く有機栽培に活用できる可能性が大きい。
2050年までに25%の100万ヘクタールまで拡大することを農水省は目標に掲げているが、ミドリムシも一助となるかもしれない。

www.jacom.or.jp

実は牧草や野菜くずから有機肥料を作ると、有機酸が混じってしまい作物に悪影響を及ぼすことがある。
しかし、ミドリムシの残りカスから作った有機肥料にはその有機酸が少なく、農業に適している。
ミドリムシを丸ごと活用することが一般化すれば持続可能な社会実現の大きな一歩になると考える。

今回、ミドリムシに興味を持った方やユーグレナに可能性を感じた方は、著書を読んでみていただけると幸いです。

 

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

もうすぐやってくる!本当の美味しさを味わえる3週間

普段は冷凍でしか味わえることのないフルーツといえば何を思い浮かべますか?
今回は「生で本当の味を楽しめる季節がもうすぐやっているブルーベリー」をテーマに綴ります。
 

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旬はもうすぐそこ!
目次

なぜ、ブルーベリーは生で流通していないのか?

そもそも、日本に出回るブルーベリーは海外からの輸入品が90%を超えている。
そしてさらに驚くべきは日本で一番ブルーベリーを出荷している産地はなんと首都「東京」である。
では、なぜ生でブルーベリーが流通していないのか?
一番の理由は、「完熟したブルーベリーは傷みが早くスーパーに並ぶまでに売り物にならなくなる」ことが背景にある。
出荷してからスーパーに並ぶまでは卸売市場を経由するため、どうしても2~3日かかってしまう。
 

生のブルーベリーが食べられるまでもうすぐ

ブルーベリーが心から好きで一番好きなフルーツで挙げる方はほとんどいないと思う。
それは、新鮮なブルーベリーを食べる機会が人生でないことが理由かもしれない。
今回は、そんな生で食べることが滅多に無いブルーベリーをFarm-Codawaryで扱うことを予定している。
とは言いつつも、ただプラットフォームに載せていれば売れるというものではない。
いかに食べることに加えて「新たな価値」を提供するかが流通を増やすカギである。
 

なぜ生のブルーベリーを扱うことになったのか?

今回、Farm-Codawaryでブルーベリーを扱うに至った背景と、どのように付加価値を付けるかをそれぞれ紹介する。
 

もてぎのもぎたてブルーベリー

栃木の茂木町でこだわりのブルーベリーを作る方とオンラインで繋がる。
お話の中で一番驚いたのは「生産時に農薬を使っていない」という点である。
その農家さんの農園では150本という限られた樹を丁寧に育てているため、手間ひまかけて栽培している。
そんなこだわりのブルーベリーであればFarm-Codawaryのコンセプトにもマッチする。

  

ブルーベリーは毛虫がつきやすく、大量に生産するとなると農薬を使わざるを得ない。
特に海外から輸入されるブルーベリーの大半は殺虫剤や除草剤をまいて生産している。
希少性から考えると、日本の生産のうち1%レベルであり、海外産を含めた流通量も加味するとさらに希少性が高まる。
そんな希少性の高い生のブルーベリーを食べられる期間は「1年のうち3週間」だけ。
ブルーベリーの旬は6月下旬から7月半ばであり、それ以降は気候の問題で冷凍品しか出荷できなくなる。
 

では何が付加価値なのか?

まず、ブルーベリーを「健康」の観点から捉えると、眼に良いというイメージを持つ方が多いと思う。
しかし、医学的根拠に乏しい上に、眼に良いとうたって販売することはそもそも薬事法的にグレーである。
そのため、健康や栄養の観点で訴求する以外の方法で考えることが必要。
そこで、Farm-Codawaryでは家で観光農園を疑似体験できるサービスを提供する。
いわゆる「リモート観光農園である。
観光農園前日にブルーベリーを各家庭に送り冷蔵庫で冷やして頂く。
そして、当日、皆で一緒に農家さんと収穫作業をリアルタイムで楽しんで頂く。
リアルな観光農園だとどうしてもぬるいブルーベリーとなってしまうか事前に冷やしておくことで最高の状態で味わえる。
さらに、ブルーベリーがどうやって実るのかを食育の一環としてお子さんを持つご家庭にオススメである。
リモート観光農園を通して、お子さんにブルーベリーの本当のおいしさを届けるきっかけにしたい。
 

特別に先着10組をご招待

どうしても150本の樹と量が限られているため、下記のフォームからお申し込み頂いた10組の方にリモート観光農園の購入券をお知らせします。
お申し込みいただけると幸いです。

airtable.com

 

梨で儲かる農業実現へ~成長促進と高密植栽培の組み合わせ~

前回は船橋の梨農園で農家さんのお手伝いをしながら梨の奥深さを学び、複数の品種を育てる理由を紹介しました。

そこで、今回は「梨で儲かる農業実現へ」をテーマに綴ります。

儲かる農業ビジネスに興味がある方はもちろん、梨をよく食べる方は一読頂けると嬉しいです。

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噂のジョイント仕立て法

目次

 

梨農園で儲かる農業を実現するためには?

儲かる農業の実現には「売上アップ」と「原価ダウン」が必要である。
そこで、今回は「売上アップ」に絞って梨農園で儲かる農業を実現するための方法を紹介する。
梨で売上をアップさせるためには、「単価」と「収量」をアップすることが必要。

単価アップのためには需要に応じた出荷調整が肝

前回のブログで梨の品種による出荷時期の違いを紹介した。
複数ある品種の中で、いち早く旬を迎える幸水梨は8月中旬の収穫が一般的である。
しかし、単価アップのためには、供給が少なく、需要が増える8月上旬のお盆のシーズンに間に合わせることが必要。
そのためには、収穫時期を前倒しする必要があり、方法は大きく2つある。
①開花を早める
暖冬であれば、桜と同様に開花が早まり、自ずと収穫時期も早まる。
3年前の2018年は暖冬のため、収穫時期が軒並み10日早まったことも。
しかし、どうしても露地栽培だと環境依存であり、コントロールできない。
  
②植物ホルモンを茎に塗布する
そこで、1本1万円近くする植物ホルモンであるジベレリンペーストを茎に塗るという方法が存在する。
この「ジベレリン処理」によって成長が促進されて収穫時期が1週間ほど早まる。
ジベレリンは植物自体が既に持っている植物ホルモンの1種であり、茎に塗布することで効果を発揮する。
種無しぶどうを作るときにも活躍している農薬の一種である。
一般的な梨農園では、このような工夫によって出荷時期を早めて単価が高い時期に販売している。
 

収量アップのために高密植で栽培

 一般的な梨の樹の間隔は5~6mくらい離れており、それぞれの樹は独立して生育。

一方で、「ジョイント仕立て法」と呼ばれる高密植の栽培方法は逆転の発想で栽培している。

キーワードは「樹と樹をつなげる」であり、樹の間隔は1.5m程度と同一面積に従来の5倍の植樹が可能。

梨の樹どうしを接ぎ木することで相互に成長を補完し、10年近く必要とする梨の栽培期間を半分の5年で実現。

また、梨の樹が一定方向に綺麗に植わっているので、作業時間が大幅に短縮できるというメリットもある。

 

なぜ儲かるはずの農業がまだまだ実現できていないのか?

なぜ梨農家さんがこんなメリットだらけのはずの「ジョイント仕立て法」を実施していないのか?

それは、「ジョイント仕立て法」実現のためには、どうしても新しく梨を植樹する必要があるからだ。

梨の樹は植えてから数十年にも渡って果実を収穫し続けることが可能な果樹である。

年を経るごとに樹が太くなっていき、強い樹に成長していき収量も比例して増える。

梨の寿命は長く、90年近く育てている農家さんもいらっしゃるほどである。

 

www.jimdo-journey.com

そんな大事に育てた樹を切り、新たに樹を植え直すことを考えると既存の梨農家さんがこの画期的な栽培方法に舵を切ることはなかなかないと考える。

 

そのため、「ジョイント仕立て法」に挑戦するのは新規の就農者か、

既存の梨農家さんであれば、造園で新たに梨の樹を植える場合や、寿命を迎えて植え替えるときに限る。

 

まずは現場を見てみることが最初の一歩

 とは言いつつも、新規で梨の生産により「儲かる農業」に挑戦する場合は、今回紹介した「ジベレリン処理」×「ジョイント仕立て法」は重要なキーワードである。

この組み合わせにより、単価と収量アップを実現し、結果的には売上アップに繋がる。

 一度、先進的な取り組みに挑戦する梨農園を見学したいという方や、栽培作業を経験したいという方は下記のフォームより登録いただけると幸いです。

現場に出ることで色んな学びや知見が得られることは間違いないです。

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今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

梨の栽培作業を手伝いながら梨の奥深さを学ぶ

梨の出荷は夏からであるが、5月は梨の摘果作業や成長促進のためのジベレリン処理など、何かと作業が立て込む。

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知れば知るほど面白い「梨」という果実
作業のピークを迎えるいま、近所の船橋にある梨農園でお手伝いをする経験を得た。
なかなか経験することの無い梨の栽培作業を通して知った「梨の奥深さに」を綴る。
梨が大好きな方はもちろん、農業において重要な考えも含んでいるので、農業や食に興味のある方は一読頂けると嬉しいです。
 
目次

実はたくさんある梨の品種

皆さん、梨を買うときに品種を意識したことはありますか?
現在、日本では「梨」とひとことで言っても20種類の梨が存在する。

https://www.city.inagi.tokyo.jp/kanko/kanko_tokusyoku/tokusan/NASHI.images/jiki.jpg

稲城市役所からの資料を転用*1

 

今回、私がお手伝いに行った船橋市内の梨農家さんの農園では幸水・あきづき・豊水を生産している。
品種が変わると栽培方法が変わり、栽培管理が難しくなるにも関わらず、なぜ梨農家さんはわざわざ複数の品種を作るのか。
 

苦労してまで複数品種を栽培する理由

理由は大きく3つある。
1.顧客満足度の向上
2.出荷時期の平準化
それぞれ詳しく説明していく。 
 

1.顧客満足度の向上

私自身、梨の食べ比べをすることはないが、品種によって硬さや味わいが異なる。
例えば、日本全国での流通量が最多の「幸水梨」は酸味が少なく甘い梨である。
重量は300g程度であり、梨の中では中ぐらいのものである。
一方で、「豊水梨」という「幸水梨」の掛け合わせで生まれた品種は酸味が強い。
重量は「豊水梨」より一回り大きく、大きいもので500gのものも存在する。
このように品種によって味や大きさが異なるので、多種多様な顧客の好み合わせて複数品種を生産する農家さんが多い。
 

2.出荷時期の平準化

梨の収穫時期は8月~10月であるが、品種によって旬が異なる。
8月のお盆にお供え物として梨を購入する方は多いが、この時期に収穫する品種は「幸水梨」が主である。
農家さんによっては出荷時期を前倒しするために、「ジベレリン処理」により1週間ほど前倒しするテクニックも存在。
今回のお手伝いでは、この「ジベレリン処理」である。
作業はシンプルで、子どもの梨の茎に油に包まれた薬剤を塗るというものである。
一方で、「あきづき」という梨の品種は名前の通り、9月中旬の秋から旬を迎える。
このように出荷時期をずらすことで、作業のピークを減らして、長い期間、販売できる体制を作っている。
 

3.リスクヘッジ

複数品種の生産は、天候や病害虫に対するリスクヘッジに繋がる。
例えば、大ぶりの梨として紹介した豊水梨は「みつ症」という病気を発症しやすい。
人体に害はなく、梨自体は食べられるが、果肉が半透明になり腐っているように見えるため規格外扱いとなる。
実は、この「みつ症」という病気は昨年に千葉で例年より多発した病気である。
原因は7月に低温が続いた上に、梅雨が長かったためである。
品種によっては、こういった気象の変化により影響を受ける。
そのため、複数の品種を栽培することによりリスクヘッジに繋がる。
持続可能性の追及には品種の多様性は欠かせないキーワードである。
梨だけでなく、あらゆる作物において品種の多様性を実現することで、我々にとっても飢餓に対するリスクヘッジとなる。
 

過去から未来へ繋ぐ新品種の存在

都道府県では、生産と販売の観点から新品種の開発を粛々と進めている。
実は、生産量No.1の千葉県が22年ぶりに新品種を開発した。
その名は「秋満月(あきみつき)」である。
千葉県知事である熊谷さんも昨日、ブログで紹介するほどの注目品種である。
特徴は、豊水より大きい上に、高糖度であり日持ちがするという点である。
噂によると、常温で約1ヶ月も日持ちするため、他の梨よりも販売期間を長くすることが可能そうである。
上市はこれからであるが、どんなものか今から楽しみである。
今回、お手伝いさせて頂いた梨農園でも少しお試しで生産しているとのことであった。
また、改めて新品種のお話を聞いてみたいと思う。
品種についてさらに詳しく知りたい方はこの本がオススメです。

  
次回は「梨の高密植栽培と成長促進で儲かる農業へ」をテーマに綴るので
ぜひ、期待していてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。