農情人:食と農の現地情報を発信

農村に訪れたときの体験記や食・農業について綴る

【国内編】あんこのようにあま~い干し柿

「これが干し柿ですか?」と、思わず声を発してしまうほど、あま~いあんこのような味わいの干し柿に出会った。

このあま~い干し柿との出会いのきっかけは、柿を武器にクラウドファンディングで500万円以上もの資金調達に成功したという記事を拝見し広島県尾道市にある柿渋工房を訪問したことから始まる。

突然の訪問にもかかわらず、温かく迎えて頂いた「株式会社尾道柿園」の代表である宗さんから会社の立ち上げから今後の展望まで、興味深いお話しの数々を3時間にもわたり語って頂いた。

 

干し柿・柿酢・柿渋の尾道柿園公式サイト|尾道市御調町「伝説の柿」

柿渋工房営業時間:9時~19時
住所:広島県尾道市御調町菅2030
アクセス:尾道駅から車で40分程度※サイクリングの場合、2時間程度

 

宗さんと柿事業とのかかわりは今から8年前の2011年秋に遡る。
宗さんが生まれ育った地元で製造していた「干し柿」をネットショップで販売し始めたことがきっかけである。
初年度から「完全天日乾燥・無添加」という謳い文句で販売したところ5,000個を見事完売!
そこから柿の魅力に取りつかれ、今に至るとのことである。
翌年には15,000個、現在では年間50,000個限定で直販を手掛けている。
訪れた集落は、400年の柿の歴史があり、今でもたくさんの柿の木に囲まれている。
宗さん曰く、「柿の木はまさに金のなる木である」とのことで、私自身、共感せずにはいられなかった。

 

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干し柿とドリンクのセット

干し柿は1個250円で楽しめる。干し柿の周りが白くなっているのは、渋柿を天日干しして出来た自然の糖分であり、20℃以上の環境だと溶けてしまうため冷蔵での保管が必須である。
今年度は秋の収穫までネット通販では在庫なしの状態だが、待ちきれない方は、ぜひ柿渋工房へ訪問下さい!

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尾道柿園の商品ラインナップ


このお宝のような柿を軸にして「限界集落となっていく故郷を復活させたい」という熱い想いで「尾道柿園」を株式会社として3年前の2016年に立ち上げ、今回、クラウドファンディングで募った資金を活用して空き家から「尾道柿渋工房」を作りあげたとのこと。

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尾道柿渋工房

 訪問前は、「干し柿」を通じて売上を伸ばし、集落の再生を図ると私自身思っていたが、実は宗さんが注目しているのは「柿渋」を原料として染料や塗料にする原料ビジネスであるとのこと。
実は、自然に発酵して染料と塗料として使用できる原料は紅殻(ベンガラ)という鉱物と柿渋の2つしかこの世に存在しないようである。
※自然由来の発酵染料として藍染めが有名であるが、藍は染料向けのみであり、塗料としては使用不可である。

 

柿渋染めの歴史はかなり古く、防虫・抗菌の効果があり、昔から漁業の網染めや船の塗料として使用されていたそうである。
今では石油を用いた化学染料が主流となっているが、柿渋の長い歴史と環境問題をきっかけとした現代の環境保全への意識の高まりから、宗さん自身、柿渋に注目しているとのこと。

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柿渋染めの繊維

訪れた「尾道柿渋工房」の材木はもちろん全て柿渋染めで色鮮やかであった。
国内では建物の資材用塗料としての需要、アメリカやカナダからはDIY向け塗料としての需要があり、日本だけでなく世界も含めたマーケットを視野に入れて販路拡大に努めている。
現状、塗料・染料向け柿渋原料の年間生産量は2トンであり、今後30トンまで拡大する計画で工場の拡大と機械の増設を予定。

そんな大きな野望を実現するべく、集落に住む方々の育てている柿の木から採れた柿の買い取り制度の構築や1本10万円で柿の木のオーナーを募り、生産量を拡大に取り組んでいる。

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熱い想いを語る宗さんと柿渋染めのギフト用桐箱

 

あんこのように甘くて美味しい干し柿を味わいたい方、秋の柿のカーテンを見に来たい方は私にご一報下さい。
※事前予約で宗さん自家製の窯で焼いた柿入り手作りピザも堪能できます♪

 

今後は五右衛門風呂が楽しめる民泊の開始やメディアへの露出を増やしていく予定であり、更なる活躍が楽しみである。

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