農情人:農業は「創造業」~Metagri(メタグリ)実現へ~

新たな農業のカタチの実現を目指して「Metagri(メタグリ)」をキーワードに活動

福祉×農業の可能性~緑豊舎@宇部市との出会い~

山口の宇部市に訪問する機会があり、社会福祉法人が運営する農園を訪問した。

管理者の永井さんに事業の概要や想いを語って頂いた。

当事業所は2013年に開所し、基本的には、補助金助成金ではなく、事業収入で運営費や人件費を賄う。

※元は古民家カフェであったところを改装

 

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農福連携の事例を見学させていただく。

 

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元は古民家の作業スペース

就労継続支援B型の施設であるため、A型とは異なり利用者との雇用契約が無い形態での運営である。

利用者総数は33人で、基本的に、皆さん車で通勤して来ているとのこと。

仕事内容は農業や内職や受託業務など複数あり、どの仕事をするかは利用者の選択制に任せているため、利用者のモチベーションは高いとのこと。

※受託業務や内職の内容は受注状況によって変わる。

 

農業の作業現場を見せて頂いた。

田畑は全て賃貸であり、栽培規模は1.8ha

栽培作物は稲・麦・野菜(年間200種類)と野菜の苗作りであり、販路は直売所やレストランがメイン。
※今後、キッチンカーを活用した販売も検討。

 

作業内容は玉ねぎの定植作業を実施していた。

玉ねぎの定植は土に植える深さを間違えると全く育たないため、注意が必要である。

圃場には管理者が1人と作業者が4人で作業を実施していた。

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作業風景


管理者として心掛けるべきポイントは、利用者を手助けするのではなく、自立を目的に積極的に仕事を任せる勇気をもつことである

結果的には、当施設においては経験を持つ利用者が新たな利用者に教える雰囲気が出来ているとのこと。

スタッフの手間も減るため、最終的には利用者への還元が実現でき、時給300円程度と一般的な就労継続支援B型の施設よりも高い水準である。

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れんこんの栽培風景

利用者の自立を支援するだけでなく、事業で得た利益を利用者に還元できている緑豊舎の事業モデルは理想形態と感じる。

 

最近、「農福連携」という言葉をよく聞く。

著書「農福連携が農業と地域をおもしろくする」には、農業と福祉を連携させて上手く事業をする企業が複数紹介しているためオススメの1冊である。