農情人:食と農の現地情報を発信

農村に訪れたときの体験記や食・農業について綴る

【第2弾】農業はデータが命。~就農1年目からデータ収集と分析を独自で実施~

第2弾では、生産の延長線上にある販売に向けたデータ収集と分析に対する、なす農家の西村さんの考えを綴る。

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データを元に分析イメージを説明頂く

最初の起点となるデータは、なす収穫量と規格を日次でまとめたものである。

そのデータと天気や気温や売上金額を紐づけて、長期で蓄積したデータを俯瞰して分析しているとのこと。

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日次の規格ごと収量データ

そのデータ蓄積と分析作業を就農後から続けているため、今では年次での比較も実現できている。

結果としては、今年2020年が販売金額が最高を達成し、就農後と比べて2倍まで伸ばしている。

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年次での累積販売金額データ

背景としては第1弾で記載した「天気や災害に左右されない圃場づくり」による秀品率向上と、周りの農家が台風被害で収量低下による単価上昇である。

 

収集したデータを元にして、2つの大きな改革を「万倉なす」生産部会長として実行したとのこと。

①不要規格廃止と新規格創設

②市場への出荷割合変更

 

①新規格創設と不要規格廃止

なすは「曲がり・傷を元にAかBで振り分け」、「太さでM~2L」でそれぞれ定義し、「規格外はC」としている。

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万倉なすの規格表

例えば、キレイで太いなすは「A2L」規格となり、1箱10本で梱包して出荷する。

データを収集し、現場を見て発見したのは、曲がりや傷が少なくキレイなのに、太さの問題で「B」と分類されるものが多く存在するという点である。

「B」で分類されると1箱あたり500円ほどの差分が発生してしまい、全農家の売上に影響している課題である。

そのため、西村さんは規格を新設することにより、農家の売上向上はもちろん、市場への卸価格を引き上げることによる農協への手数料向上を実現できるという事実を武器に、様々な人に働きかけた。

苦労の末、新規格創設を実現し、農家の売り上げ向上に貢献。さらに、ほとんど使われていない規格を廃止することにより、農家の仕分けの手間を削減した。

 

②市場への出荷割合変更

万倉なすは「宇部」をメイン、「徳山」をサブとして、2つの市場へ出荷している。

従来は「5%ルール」として、出荷量の5%をサブの市場である「徳山」に出荷していた。

しかし、データ分析を続ける西村さんは1点の重要な数字に気付いた。
それは同一の規格でも2つの市場で価格が大きく異なる点である。
そのため、昨年から「5%ルール」を完全撤廃し、サブの市場である「徳山」に20箱を単価が高い規格を選定し出荷する体制に変更した。
その結果、同一箱数であっても、売上単価が向上するため、農家の売上アップに貢献した。
 
このように生産へのこだわりだけでなく、良いものを作った農家が適正な収入を得られるように、データを蓄積して事実に基づいた改善策実行している。
生産だけでなく販売の工夫を実現し続け、常に進化を遂げている西村さんでも、ある大きな危機感を覚えているとのこと。
次回は、西村さんの今後の展望について綴る。