野菜を買うとき、売るときに損をしないために
今回は、八百屋から大阪唯一の自然薯専門農家に転身した方が執筆した本から、野菜の販売ノウハウを紹介。
目次
結論
野菜の相場でスーパーか直売所か、有利な方を決める
スーパーの産直コーナーに出荷していると野菜相場の上下のときに有利になります。なぜかというと、相場の上下の仕方がスーパーと直売所で異なるからです。スーパーは市場から野菜を仕入れて販売していますから、相場が上がるときはすぐに販売価格が上がります。一方、直売所は農家が直接に販売価格をつけています。だから相場が上がったことに気づかない農家が値段を上げないとほかの農家も価価格を上げることができず、市場の相場より遅れて価格が上昇します。そのため、野菜の相場が上げのときは価格がすぐに上がるスーパーで販売するほうが売りやすくなります。
スーパーと直売所では、相場に対する価格の反応が大きくことなるとのこと。
野菜の価格が高いときは、消費者の立場なら、近所に直売所があれば積極的に活用すべき。それは直売所の方が市場価格の反映が遅れてくるためである。
一方で、農家の立場なら、スーパーに卸したほうが市場価格が反映され高単価で売れるとのこと。
相場が反転したら、その逆にすべきとのこと。
このように、買い手であっても、売り手であっても、市場価格に敏感になるとお得。
野菜をABCランクに分けて戦略を立てる
著者は売れ方の特性に応じて、野菜をABCランクで分けています。
Aランク商品はお店の野菜の中で売上高が上から30位以内のものです。この30品で野菜売場の売上の70~80%をたたき出します。Aランクの野菜はどんなものかというと、きゃべつやトマトといった誰でも知っている野菜で、スーパーでは真ん中の平台に広く陳列されているものがこれに当たります。
Bランク商品は普段はそんなに売れないが、価格を安くしたり試食販売をしたりするとたくさん売れる商品です。
Cランク商品は、スーパーでは通路側の冷蔵多段ケースに陳列されているものです。品揃え商品と呼ばれるもので、で、バジルなどのハーブ類、紅たでなどの妻もの類、チコリなどの西洋野菜などがこれに当たります。
戦略的に、A・Bランク商品で売場を独占できるお店を見極めることが重要。
一方で、Cランク商品はお店の棚の見栄えを良くする野菜のため、高単価でも大量に栽培しないように注意が必要。
本書には、ほうれん草やピーマンやレタスなどの野菜がどのランクに該当し、どうパック詰めして売るべきか紹介されている。
ストーリーで高付加価値化
私は新規就農してメシが食えるようになるために必死で野菜作りをしたが、あるとき、化学肥料まみれの自分の生産する野菜がおいしくないことに気づきいた。これではいけないと就農したころの初心に戻っておいしい野菜を作ろうと決意し、昔お世話になった自然薯農家に弟子入りし自然薯農家になった。
化学肥料の多用に疑問を持ち、顧客視点に立ったストーリーで、SNSやECやウェブサイトでストーリーを発信している。
お客様に一番イチゴが美味しいタイミングで食べていただくため、完熟ギリギリまで収穫せず、熟練のイチゴマイスターがベストだと見極めたタイミングで朝摘みしています。ミガキイチゴはどれも抜群の香りと甘さがありますが、最高クラスのイチゴをプラチナ、ゴールド、シルバーとグレードを分けて販売しています。1株から獲れるイチゴの数は50個ほどですが、「プラチナ」として出荷できるレベルのイチゴは、そのうちのたった1個程度でしかありません。
外国人が殺到するイチゴ農園が宮城にあった | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
「プラチナ」ランクのイチゴは数は限られているため売上のほんの一部である。
しかし、「ゴールド」「シルバー」ランクのイメージをアップする重要な役割を担う。
本書のすすめ
本書には、他にも商品が売れ残ったときや足りないときにどうすべきかなど、色んな悩みの解決策が記載。
農業でさらに売上を伸ばしたい方や、儲かる農業を実現することを目指して就農を考えている方は一読することをおすすめする。