農情人:食と農の現地情報を発信

農村に訪れたときの体験記や食・農業について綴る

ミドリムシ V.S. ハエ~世界を救うのはどっち?~

ミドリムシを構成する油分で飛行機が飛ぶ世界がやってくる!?
これは「ユーグレナ」という東大発ベンチャーが実現しようとしているプロジェクトの一つである。
実は既にミドリムシの燃料で走る「環境にやさしいバス」が埼玉県内で運行している。

emira-t.jp


今回はそんなミドリムシをテーマに書かれた著書「ミドリムシ博士の超・起業思考」に沿ってミドリムシの可能性を紹介する。
持続可能な社会の実現を望んでいる方はもちろん、新たな事業を作って起業したいという方に一読いただけると幸いです。

 

目次

 

ハエとミドリムシはどっちが世界を救うか?

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持続可能な社会実現に向けて

以前、ブログでハエを活用して有機肥料を生産する「ムスカ(MUSCA)」という会社を紹介した。

villagehunter.hatenablog.com

当社はハエを農業分野における肥料と畜産分野における家畜飼料の2軸で活用するという発想で事業を構築している、
一方でミドリムシは「バイオマスの5F」というキーワードで肥料と飼料に追加して3つの用途で事業を構築するべく実証実験を進めている。
「5F」は後段で詳しく説明するが、結論から言うとミドリムシは長期的にはハエを大きく上回る潜在能力を秘めている。
そのため、中距離走ではハエの方が勝る可能性はあるが、長距離のマラソンではミドリムシに軍配が上がると考えている。
著書では2100年にはミドリムシの燃料で宇宙に行き、宇宙での生活でもミドリムシが循環社会に大きく貢献すると公言している。

 

バイオマスの5Fとは

バイオマスの5F」とは次の5つのFから成り立つ利用方法である。
(1)Food(食料)
(2)Fiber(繊維)
(3)Feed(飼料)
(4)Fertilizer(肥料)
(5)Fuel(燃料)
番号が上がるほどコストダウンが必要とされる。
そのため、ユーグレナはまずは(1)Food(食料)を最初のマネタイズのための事業としてスタートしている。
ユーグレナの創業は2005年であり、量産化の研究を進めて食品での事業化の目途がたち、2012年に上場している。
そして、一番の難関である(5)Fuel(燃料)を実現するため、株式公開で調達した資金のうち70億円もの巨額投資を大規模プラントに投下している。
年商120億の会社が銀行融資無しで実施するというかなり思い切った投資である。

なぜそんな無茶な投資をするのか?
年商の半分を超える投資は一般の企業からしたら有り得ない会社そのものを揺るがすレベルの話である。
売上高設備投資比率は全業種の平均で7%程度が一般的である。

zaimani.com

ユーグレナは60%近くに達するベンチャーとしてはかなりの思い切りである。
しかし、これはギャンブルでもなく勝算ありきの堅実投資だと当社の経営陣は考えている。
著書の重要なエッセンスとして、「小さな実験でPDCAを高速回転すること」を研究の軸に置いている。
そのため著者の鈴木さんは1カ月当たりでは少なくとも100通り近い検証をして研究を前に進めている。
大事なポイントとして下記の2つの結果しか出ていない実験は、そもそも大規模な実験に移すことはない。
・失敗したときに原因が特定できなかった実験   
・「100回やって数回成功した」という段階の実験

今回、大規模プラントの実証に移したということは、上記の2つがクリアできた証。 

www.kanaloco.jp

 

FoodとFuelだけでないミドリムシの可能性

実は、「ムスカ」と同様の考えで、有機肥料への活用に向けた実験も実施している。

musca.info


明治大学と共同でミドリムシから油脂を取り出した残りカスをいちごの有機肥料として栽培実験。
結果としては生育も良く有機栽培に活用できる可能性が大きい。
2050年までに25%の100万ヘクタールまで拡大することを農水省は目標に掲げているが、ミドリムシも一助となるかもしれない。

www.jacom.or.jp

実は牧草や野菜くずから有機肥料を作ると、有機酸が混じってしまい作物に悪影響を及ぼすことがある。
しかし、ミドリムシの残りカスから作った有機肥料にはその有機酸が少なく、農業に適している。
ミドリムシを丸ごと活用することが一般化すれば持続可能な社会実現の大きな一歩になると考える。

今回、ミドリムシに興味を持った方やユーグレナに可能性を感じた方は、著書を読んでみていただけると幸いです。

 

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。