農業は農作物を作るだけではない? 絶対に不可欠な○○も一緒に作る農業
みなさんは「ソーラーシェアリング」という言葉をご存知でしょうか?
農業は農地で農作物を作って販売することが一般的だが、電気を一緒に供給するビジネスモデルが存在する。
今回はそんなソーラーシェアリングを2017年から事業化している「つなぐファーム」を訪問。
目次
右肩下がりの売電価格と右肩上がりの許可件数
ソーラーシェアリングの元となる技術は今から20年ほど前から存在。
なぜなら従来の法律では「農地を農業以外の用途に使うことができなかった」からである。
一方で、売電価格は2021年現在では、2013年に比べて半値であり、毎年の下落基調は止まらない。
発電事業の新規参入に関してはそろそろ転換を迎えているのかもしれない。
ソーラーシェアリングNo.1の○○県
ソーラーシェアリングの許可件数No.1の県は実は千葉県である。
許可件数件数としては既に300件を超える。
千葉でソーラーシェアリングが活発な背景には「つなぐファーム」の親会社である「千葉エコ・エネルギー」の存在が大きいと考える。
当社は匝瑳市において恐らく日本一の規模のメガソーラーシェアリングに投資。
メガソーラーシェアリングには3億円を超える総投資額だが、年間の売電収入だけで約4700万円であるため、10年程度で投資回収できると予想できる。
当社の方針としては、自社で事例を作りながら新規参入者のサポートを担う。
ソーラーシェアリングに参入する3つのパターン
ソーラーシェアリングの特徴は必ずしも、発電設置者と営農者が同一でない点である。
そのため、事業パターンとして下記の3つが存在する。
そのため、事業パターンとして下記の3つが存在する。
1.電気だけ作り、農作物は作らない
2.農作物と電気を作る
3.農作物だけ作り、電気は作らない
実は、「つなぐファーム」では1~3の全てを担った経験があり、その点が当社の大きな強みである。当社の経験を踏まえてそれぞれを簡単に説明する。
1.電気だけ作り、農作物は作らない
先ほど紹介した、匝瑳市のメガソーラーシェアリングがこのパターンである。
太陽光パネルにだけ投資して、農地管理は別の会社が担う。
農地管理は有機農業の経験のある若手集団により結成された「Three little birds」が担い、広大な土地で大豆や麦を生産する。
メガソーラーシェアリング事業に関わりながら、農地管理の可能性を見出し、農業法人「つなぐファーム」設立に至ったと予想できる。
2.農作物と電気を作る
今回訪問した、千葉市にある「つなぐファーム」が運営する圃場が正にこのパターンである。
2017年から1ha規模での栽培を開始し、現在ではジャガイモやニンニクやナスやレタスなど多種多様な作物を生産。
2017年から1ha規模での栽培を開始し、現在ではジャガイモやニンニクやナスやレタスなど多種多様な作物を生産。
ここで培ったノウハウや経験を今回いろいろとお伺いしたので後段で説明する。
3.農作物だけ作り、電気は作らない
「つなぐファーム」は上記の経験を踏まえて、営農者として太陽光パネルには投資せずに農作物の生産を請け負う。
このスキームのメリットは、農作物の販売収入と発電設置者が支払う交付金の2つの収入源がある点。
このように、3つのパターンの事業を推進する中で、新規参入者のサポートを担い、ソーラーシェアリングを普及させていくことを目標としている。
「露地栽培」だと作物の上には何もないため、遮光率0%
「施設栽培」だとハウスを覆うビニールの汚れや鉄パイプが陰となり、遮光率10~20%程度
「ソーラーシェアリング」はパネルの間隔にもよるが、遮光率40~50%程度
また、施設園芸とは異なり、周りがビニールに覆われていないため、基本的に温度・湿度・CO2のような環境制御は無い。
そのため、露地栽培や施設栽培とは環境や条件が異なるため、栽培作物の選定や栽培方法が大きく異なる。
「つなぐファーム」では3年以上の栽培経験を踏まえて、独自のノウハウを築き上げ、圃場のいたる所に工夫があった。
例えば、遮光率が高いことで、晴れていても土壌の渇きが遅いため、水を好むレタスやナスのような作物を選定する。
また、雨が降って止んだ後に太陽光パネルから滴る水滴による「泥はね」防止のために防虫ネットを使う。
様々な作物を試行錯誤しながら育てて課題を追及し続けたからこその他には無い工夫が詰まっていた。
今後はそんなノウハウを武器に新規でソーラーシェアリング事業に参入する方々をサポートしていくことが目標である。
次回は「SDGsとの親和性」や「災害対策」をキーワードに綴るので楽しみにしていてください!
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。