楽しくマンガで学ぶ「日本の農業の危うさ」
「弱い産業だからって農業が国からの保護されているからだよ」
これは、エンゼルバンクに登場する弁護士の桜木が放つ言葉である。
結論
刺激的な3つの指摘
- 日本の農業は補助金漬けであり事業として成り立っていない
- 農家は儲からない農業を「天気や政治家」の責任と言い逃れをする
- 日本は選択肢が少なく貧しい国
※マンガにある表現より要約
1.日本の農業は補助金漬けであり事業として成り立っていない
イギリス91%、フランス95%、ドイツ70%、スイス105%。
日本はわずか35%。*1
2.農家は儲からない農業を「天気や政治家」の責任と言い逃れをする
マンガには、仮に天候に恵まれなくても、不作の原因は自分にある。
自責の精神が必要。
もちろん農家さんによるところが大きいが、私が出会った農家さんたちは、天候も含めて自責の精神で取り組んでいる。
例えば、山口で出会ったなす農家さんは台風に備えてソルガムを育てている。
結果、風除けとして効果を発揮し、台風が来ても最小限の影響に留めている。
また、千葉の三つ葉農家さんは、農薬散布の量やタイミングを季節や気候に応じて仕組化することで病害虫を激減させている。
これからの時代を生き残り、さらに進化する農家さんは自責の精神が重要という点はその通りである。
そして、そんな農家さんは農業界に増えていると肌で感じる。
3.日本は選択肢が少なく貧しい国
たとえ、物が溢れていたとしても、選択肢が一つしかないのであれば、豊かとは言えないという意見である。
この考えは私も大いに賛成である。
実は、日本に出回る農産物は品種に偏りがある。
マンガにも取り上げられているが、例えば、「トマト」の場合、日本に出回る8~9割が『桃太郎』という品種である。
この『桃太郎』は日本のトマト業界に良い意味でも悪い意味でも革命を起こした。
https://noguchiseed.com/hanashi/imamukashi2.html
『桃太郎』が開発される前までは、熟れたトマトは出荷の際に、輸送途中で傷んでしまうという問題があった。
そのため、果実全体が緑色のうちに収穫され、箱に詰めて出荷していた
一方で、『桃太郎』は品種改良して果実を硬く赤くしているので、完熟して出荷することが可能となった。
とはいいつつも、『桃太郎』にも大きなデメリットがある。
それは、『桃太郎』がハウス内で育つ前提に品種改良が進められたことに起因する。
ハウス内で安定生産や生産性を向上させることに開発が進んだ結果、自然環境では育つことができない、「箱入り娘のような品種」となった。
そのため、雨に弱い品種であり屋外では栽培しづらい。
単一品種に偏ってしまうと、気候変動リスクへの耐性がどうしても低くなってしまう。多品種を育てることは、日本全体で安定生産に繋がるだけでなく、同じ農産物でも色んな味わいも楽しめる。
エンゼルバンクに登場する弁護士桜木は日本の農業に対してかなり辛口である。
そんな辛口な意見だからこそ日本の農業を見つめ直すきっかけになったのは事実。
農業以外にも色んな産業についてに読みやすくまとめられているので、ぜひ楽しみながら読んで頂けると嬉しいです。
今回の内容は音声でも配信しています。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。