農情人:農業は「創造業」~Metagri(メタグリ)実現へ~

新たな農業のカタチの実現を目指して「Metagri(メタグリ)」をキーワードに活動

かものはしプロジェクトでの現地インターンを終えて【第2弾】

第2.弾 カンボジアの農村訪問 ~農村を訪問する中で感じたこと~

  

今回は第2弾として、カンボジア農村部の現状について綴りたいと思う。

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カンボジア人口の約7割が一次産業である、漁業や農業に従事している。

そのため、都市から少し離れるとすぐに農村地帯が広がる。

国土の30%ほどが農地である。

30%といってもピンとこないと思うので、農業人口も含めて日本と比べてみよう。

  

 農業人口の比較

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 参考:農林水産省

 

 農地面積の比較

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 参考:農林水産省

 

日本の国土はカンボジアのほぼ2倍であるのもかかわらず、

農地面積はカンボジアより小さい。

また、農民に割合に関しては日本と比べると別次元の世界である。

カンボジア国内において農業が重要な立ち位置にいることは

お分かり頂けたかと思う。

 

これが途上国一般の現状である。

 

  •  農村地帯で2次産業!?

かものはしプロジェクトが運営する工房は都市から1時間ほどの所に位置しており、

農村地帯に囲まれた場所である。

そこで、い草(畳に使われているようなもの)を加工した民芸品を生産し、

農村部において雇用を創出している。

いわゆる2次産業による生計向上プロジェクトである。

 

その工房で働いているのは、女性たちがメインであり、

その家族のほとんどが農業に従事している。

  

かものはしプロジェクトが実施するツアーのお陰で、

彼女たちの家に訪れて話を聞ける機会が多々あった。

一人8ドル程度で参加できるので、カンボジアに旅行に行く際には

是非訪れて頂きたい。

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  (ツアーで家庭訪問したときに撮影した写真) 

 興味のある方は下記のURLをクリックしてください。

かものはしプロジェクト:http://www.kamonohashi-project.net/activity/factory/cfvisit/

 

  • 農村部が抱える問題

農村を訪問する中で、皆が口々に言うことは「が十分に確保できなくて

農業で生計を立てるのが難しい」ということだ。

 

なぜなら、カンボジアは雨季と乾季の二つの季節しかない気候であるため、

灌漑施設がない地域では年一度しか米や野菜の栽培が出来ないからだ。

 ※一部、湖の近くや灌漑施設を持つ地域ではポンプ等を使用して一年に2、3回作付けしてる人たちもいる

  

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 (脱穀の様子) 

 

安定供給や生産性を上げるために灌漑設備を作ろうとしても

多額のお金が必要になってくる。

例え簡易的な井戸を建設するだけでも5万円ほどかかる。

これだけ貯めるには、都市で働く人でも平均月収が稼げたとして、半年ほどかかる。

 

去年(2012年度)であれば

米が約20円/kgでしか売れない農産物市場価格の現状を考えると、

農業で利益を上げて灌漑施設を建設するなど「夢のまた夢」であろう。

 

もちろん灌漑施設がなければ生産性を上げるにも限界があり

収益を上げることが出来ない。

農業で収益を出そうとすると、大きく市場価格に左右されてしまう。

 それも一つの要因として多くの人たちがタイに出稼ぎに行くのであろう。

 

私は、土地はたくさんあるにもかかわらず

最大限に生かしきれていないことに対して「もったいなさ」を感じた。

 

 もちろんJICAなどの援助機関やNGOは一部で活動しているものの

まだまだ十分に行き渡っていないという現状である。

 そのため、村全体が協力して灌漑を導入する

サポートが出来るようなビジネスはかなり可能性を感じた。

  

  • 電気が通っていないのにテレビ・・・

「どういうこと?」と感じた読者もいるかも知れない。

 

電線は農村の家庭には基本的にない。

代わりに、車に内蔵されているバッテリーのようなもので電気を使っている。

 

使い切ると充電されたバッテリーを購入して、

使用済みのものを返却するという仕組みだ。

  

輸送費や充電のコストなどはかかるものの、かなり効率的な仕組みだと感じた。

使いたい分だけ購入すれば良いし、

消費分が目に見えるので必要に応じて使用量を調整し易い。

これは、収入が不安定な農村に住む人たちにとってはかなり都合が良い。

 

そのため、政府が電気インフラを整えるために

各家庭に配線を引いて電気を通すよりも

各拠点にバッテリー充電施設を整えてより手軽に購入できるようにした方が

はるかに現実的で農村地帯に恩恵をもたらすであろう。

 

しかし、聞いたところによると工房がある地域にも近いうちに

電気インフラが整備されるそうである。

かなりの費用がかかることが予想されるが、

その金額に見合う効果が得られるかどうかは定かではない。

むしろ灌漑施設の整備のほうが優先順位が高いと感じる。

  

  •  まとめ

電気をバッテリーから使うというような

日本ではありえないような事が途上国農村部に行くと

普通にみられる事が農村訪問の面白みだと思う。

 

どこの農村であっても何かしらの発見驚きがあると思われるので

是非、一度は訪れてみてほしい。