【第3弾】タイの有機農業の老舗へ訪問~海外市場はボーナス?~
「自然と人間が調和した社会を目指し、地球の環境と人間の健康を守る」ことを理念に掲げ、有機農業に取り組む「Harmony Life」はいかにして、タイ国内だけでなく、欧米を含む海外へ市場を拡大していったのか。
第3弾では、「Harmony Life」がどのようにして、オーガニック認証を武器に世界に展開したかを綴る。
目次
そもそもオーガニック認証とは?
オーガニック認証という仕組みは、1972年に IFOAM(国際有機農業運動連盟)というNGOが持続可能な農業を実現するために作り上げた。
オーガニック認証と一口に言っても、認証を得る国によって、費用や審査基準が多少異なるものの、基本的には IFOAMの基準に則っている。
タイはオーガニック農業に対して、積極的であり、認証にかかる費用(農産物検査や農場査察)は農水省負担で、農家の費用負担は不要である。
一方で、日本のオーガニック認証であるJASは基本的に農家負担であり年間40万円程度要する。
オーガニック認証に対する国の姿勢によって、オーガニック商品の市場規模は左右される。
東はアメリカ、西はヨーロッパまで
「Harmony Life」は生産が安定しだした5年目以降、本格的にオーガニック認証取得に動き出した。
まず初めに、2004年にタイ農業省のオーガニック認可を取得した。そして、2009年にはドイツのオーガニック認可を取得し、なんと、2011年にはアメリカ・ユーロ・カナダのオーガニック認証を取得してしまう。
また、「Harmony Life」の強い所は、オーガニック認証取得前から加工品の開発と生産に力を入れていた点である。
モロヘイヤから作ったヘルシーな麺、酵素ドリンク、せっけんなどなど、農産物とは違い、日持ちする健康や環境に配慮した商品ラインナップを揃えていた。
それらのこだわり商品とオーガニック認証を武器に世界のバイヤーが集まる展示会に積極的に出展していった。
展示会出展料はタイの農水省・外務省・商務省からの補助金により、タイ国内であれば無料、海外の場合は50%の費用負担で済んだとのこと。
その結果、是非とも自国で扱いたいというバイヤーや商社に出会い、現在では10か国以上に輸出している。
でも、やっぱりタイ市場が一番のターゲット
確かに、海外市場は高単価で販売量も見込めるため、力を入れたくなりそうなものだが、大賀様は「海外市場はあくまでボーナス」と見ている。
そのため、タイ国内市場をメインターゲットにするスタンスは変えないとのこと。
タイ国内においては、バンコク市内の自営店舗である「Sustaina Organic Shop」において、新鮮な野菜や果物はもちろん、酵素ドリンクやモロヘイヤヌードルなどの加工食品を販売している。
1階はオーガニック商品を取りそろえ、2/3階は落ち着いた雰囲気のレストランで体にやさしい食事を提供している。
年会費によるメンバー制も導入しており、タイ国内において多くのリピーターを抱えている。
また、モロヘイヤヌードルは「MKレストラン」というタイで400店舗以上展開する大手レストランでも提供している。
第4弾では、生産と販売の拡大を実現した「Harmony Life」が有機農業をさらに広げるため、どのような活動に力を入れているか綴りたいと思う。