農情人:食と農の現地情報を発信

農村に訪れたときの体験記や食・農業について綴る

【第4弾】タイの有機農業の老舗へ訪問~規模拡大より大切なこと~

試行錯誤を繰り返し、ようやく辿り着いた有機農法を武器に世界的に販路を広げている「Harmony Life」が、今後、何を目指し、どのような取り組みに力を入れているか第4弾では綴りたいと思う。 

目次

 

コンセプトは「誰でもオーガニック」

大賀様自身、創業当時から生産が安定するまでの5年間で経験した、言葉では表せない辛い経験は、他の人には味あわせたくないという気持ちが人一倍強い。

そのため、有機農業に取り組む生産者への技術伝承は積極的に実施している。

「Harmony Life Organic Farm」に訪れる研修生は年間500人にのぼる。

既に10年間、国内外問わず研修生を受け入れ続けているため、5,000人以上の有機農家を指導してきたことになる。

生産指導の主な内容は「良い土壌づくり」をどう作るかが一番のテーマである。

 

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良い土壌づくりにEM(有用微生物)を混ぜた灌水は欠かせない

とは言っても、指導を受けたからと言って、良い土壌は一朝一夕では実現出来ない。

そのため、生産が安定するまでは病害虫に悩まされることは目に見えているため、対策として、生産割合の半分をハーブ類にすることによりリスクヘッジするよう指導しているとのこと。

 

良い農作物が作れても売り先が・・・

また、有機農業に取り組む農家を増やす際に、生産の安定化の次にぶつかる壁は販路開拓である。

例えば、大手スーパーのような量販店へ卸す場合、生産量を調整するのはもちろんのこと、形の均一化が求められる 。

一方で、有機農法で作物を作る場合、農薬は使用不可であり、形を揃えることは事実上不可能である。その結果、大量に作った作物を、一括で量販店に卸すビジネスモデルは実現できない。

そこで、有機農業へ本格的に取り組むタイ国内の農家に対しては、「Harmony Life」が生産方法や農産物を見極めたうえで、買い取りを実施している。

用途としては、加工品用原料がメインである。

モロヘイヤヌードル、酵素ドリンク、せっけんや化粧品などなど、タイ国内外へ加工品の販路を拡大している「Harmony Life」だから実現できる提案である。

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バンコク市内の自営レストランで健康的な料理を提供

 

タイ王室からの支援ではなく妨害?

タイ農業省も「Harmony Life」同様に有機農業を普及させるという意向はあるものの、喫緊の一番の課題は、タイの王室プロジェクトの一環で農園の真ん中に新たな道路の開通工事である。

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王室プロジェクトによる新道路開通工事

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作業トラックが通るたびに舞う砂ぼこり

「Harmony Life」代表の大賀様自身も、例え王室プロジェクトだからと言って、命の次に大切な農園に人工的な道路を通されることに黙っているわけは無く、反対運動を起こした。

しかし、無情にも、タイ国から大賀様へ2つの選択肢が与えられる。
日本へ帰るか、反対運動を辞めて農場内の道路の建設を受け入れるか。

20年間、タイのために有機農業を普及するべく尽力してきた「Harmony Life」への思いやりの無さには私自身も聞いていて言葉を失った。

大賀様は、やむを得ず、後者を選択し、反対運動を辞めた。

しかし、さらに驚くべきは、未だ、農園を更地にしたことによる機会損失費用はもちろん、道路建設により農園へ与える悪影響への対策費用は、一切、国から補填されていない。

 

創業20年でもまだまだチャレンジャー

創業して20年、このような逆風があるにもかかわらず、大賀様の表情や言動には悲観的な様子が見られなかったのが、とても頼もしかった。

間違いなく、この逆風をもバネにして、有機農業の普及スピードを一層加速していくだろう。

今後とも、大賀様の活動を陰ながら応援して行きたいと思う。

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大賀様との2ショット

もし、「Harmony Life」の大賀様の活動に興味を持たれた方はこちらの本にも貴重な経験がたくさん書かれているので一読頂けると嬉しいです。