農情人:農業は「創造業」~Metagri(メタグリ)実現へ~

新たな農業のカタチの実現を目指して「Metagri(メタグリ)」をキーワードに活動

マーケティング戦略で儲かる農業へ

マーケティング」という言葉を聞いてどのようなイメージをしますか?
一言で「マーケティング」と言っても色んな内容が含まれています。
集団心理を動かす、埋もれているものを世に知らせること、両方とも「マーケティング」により実現できます。
今回はマーケターとしてUSJを建て直し森岡さんの著書「確率思考の戦略論」をもとに、儲かる農業の実現に向けたマーケティング戦略をテーマに綴る。

 

目次

 

マーケティングはビジネスで成功確率を高めるための科学

著書「確率思考の戦略論」には、マーケターとして、USJをV字回復させた森岡さんのマーケティングノウハウが詰まっている。
マーケティングは次の3つの要素に対して経営資源を効率よく配分することが重要というのが本書のポイントである。
①選好率(Preference)
②配荷率(Distribution)
③認知率(Awareness)
特にマーケティング戦略では、①選好率、すなわち、購買者に対して自社のブランドが選ばれる確率を上げることが最重要である。
なぜなら、購買者は商品を購入する際に複数の選択肢を持つ。
その複数ある選択肢の中から自社のブランドを選んでもらう確率を高めることがマーケティングの本質。
例えば、私の場合、ビールを購入する際の選択肢はプレモルが最優先である。
ブランドごとに購入する確率を独断と偏見で並べると、プレモル=90%、エビス=7%、一番搾り=3%と、私自身、かなりプレモルを買う確率が高い。
これは私がプレモルに対するプレファレンスがかなり高い状態であり、プレモルを販売するサントリーマーケティング戦略にドハマりしている状態である。
一方で、いくら①好意度が高くても、②配荷率が低い状態だと、購入することさえ出来ない。
例えば、コンビニや居酒屋に行った際に、プレモルが無い場合、自動的に他のブランドの商品を選択する必要が生じる。
昨今、ECサイトで何でもワンクリックで購入できる時代であるため欲しいものが購入できないという事態は少ない。
しかし、モノによってはECサイトでも取り扱ってい無い商品も多々存在する。
③認知率は、商品を知っているかどうかであり、有名なブランドであるほど、CMを乱発するほど高くなる。
ビールの場合、COEDOビールやヤッホーブルーイングなど、大手と比べて認知率に劣るブランドはビール業界には多々存在。

diamond.jp

今回は、儲かる農業実現に向けて取り組んだクラウドファンディングを事例に、上記の3つの要素をもとに、マーケティング戦略を振り返る。

 

クラウドファンディングも立派なマーケティング戦略

今回、6月から1ヶ月間にわたり「トマトズキッズプロジェクト」として、三浦農園のトマトのクラウドファンディングを実施。

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クラウドファンディング×マーケティング

三浦農園は山口県宇部市で過去から美味しいトマトを追及し続けていた。
そんな三浦農園をクラウドファンディングを通じて、マーケティング戦略で重要な3つの要素を引き上げることに挑戦した。

villagehunter.hatenablog.com

認知率はほぼ0%であり、山口県外の人が知るきっかけが無かった

三浦さんは、山口県宇部市で8年前から就農してトマトづくりに専念していた。
しかし、私が三浦さんの存在を認知したのは、ごく最近の2020年11月である。
なぜなら、三浦農園はECサイトを運営していないのはもちろんのこと、活動を紹介するWEBサイトさえ開設していないからである。
いくら美味しいトマトを丹精込めて作っていても、私のように山口県外の住む人にとって知る方法がない。
そのため、まずは認知率を上げるためにクラウドファンディングを実施して存在を広めることからスタートした。

配荷率もほぼ0%であり、地元のスーパーや道の駅のみでの取り扱い

一つ大きな課題はクラウドファンディングで認知率を高めても、実際に届けられるかが分からないという点。
そのため、クラウドファンディング開始前に、配荷率を上げる取り組みを実施。
それは、山口県から首都圏への出荷はもちろん、北は北海道まで配送を実施した。
結果として、三浦農園のトマトは2~3日の輸送に耐えきれることを確認した。
また、配送料の引き下げのために、梱包箱のサイズも複数比較してトマト1個当たりの輸送費が下がるよう検証した。
そうして、配荷率は日本国内100%と言えるレベルまで引き上げた。

選好率は伸びしろだらけ

三浦農園のトマトは宇部市の中ではリピート率が非常に高く、一定のブランドを築きあげている。
そのため、その選好率を日本全国へ水平展開すべく、既存顧客の声を拾い上げながら商品力を磨いていくことが次のステップ。
例えば、トマトの美味しさに加えて、三浦農園の生産ストーリーを盛り込んだ絵本づくりやパスポートマトという購入権をクラウドファンディングのリターンとしている。
まずは、クラウドファンディングのリターンを受け取った方々の選好率を高めることで、全国的にファンを増やすことが最大の注力ポイントである。

儲かる農業の実現にも「選好率」が最重要

著書「確率思考の戦略論」で繰り返し主張している「選好率」は農業でも最重要。

USJの場合は、選好率を水平展開するために、「映画だけのテーマパーク」という狭い定義から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップという一段上のコンセプトに昇華させた。

davidemarketing.co.jp


既存顧客の選好率を上げる垂直展開より、新規顧客開拓の水平展開に大きく舵を切ったことがUSJのV字回復に大きく貢献。
三浦農園においても、USJと同様、水平展開として新規顧客を開拓することで需要を増やし、トマトを増産して売れる体制を作る。
現状のハウス規模だと年商1000万円には遠く及ばないが、ハウス新設で増産体制を構築し、まずは年商1000万円を目先の目標とする。
その先に儲かる農業実現の可能性が見えてくると信じている。

  

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。