農情人:農業は「創造業」~Metagri(メタグリ)実現へ~

新たな農業のカタチの実現を目指して「Metagri(メタグリ)」をキーワードに活動

農業は掛け算で儲かる事業に~電気×貸農園×IT~

前回はソーラーシェアリングが地域のインフラになるをテーマにSDGsとの親和性を紹介した。
今回は「農業に電気と貸農園とITを掛け合わせる儲かる農業への道」をテーマに綴る。

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新たな領域へ
目次

掛け算により儲かる農業へ

以前、著書「金儲けのレシピ」をもとに、様々な儲かりのレシピと農業を掛け合わせて事業アイデアを紹介。
農業は種をまいて栽培して出荷するだけでは利益を出すことが難しい。
今回は農業に次の3つの要素を掛け合わせて「儲かる農業」を創造する。
1.電気
2.貸農園
3.IT
 

1.電気

農業×電気として「ソーラシェアリング」が2013年より農水省の許可により実現可能となった。
ビジネスモデルとしては「上で電気を、下で農作物を売る」ことにより、農地から2つの収入を実現する。
商標のプロフェッショナルであるべんりしほっしーさんの音声配信が分かりやすいので、ぜひ聞いてみてください。
ソーラシェアリングのメリットは太陽光パネルの下で農作業が出来るため、暑い時期でも日陰で快適に作業できる点。
しかし、ソーラシェアリングのデメリットは何と言っても初期投資が莫大なため、投資回収に課題がある。
 

2.貸農園

みなさんは近所で貸農園を見かけたことがあるでしょうか?
農家さんが所有する畑を区画分けして、個人の方々に貸し出して利用料を得る仕組み。
都市近郊であれば、「シェア畑」や「ふるさと農園」のようなサービスがある。

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シェア畑の様子
 私の場合、家から5kmのところに「シェア畑」があり10m2のサイズで借りている。
スコップやハサミなど作業に必要な畑にあるため、手ぶらで行けて楽しめる点が便利である。
指導員の方が畑にいらっしゃるので、栽培で不明点あれば親身になって教えてくれるという手厚いサポート付き。
畑を転用するだけで運用可能なため、個人でも初期投資は少なく始められる点がメリットである。
コロナ禍で外出自粛が続く中、畑という癒しのスポットの存在は大きく需要が増加している点も追い風。
ソーラシェアリング×貸農園で個人が農地の一部の権利を持つ仕組みの構築には可能性を感じる。
 

3.IT

最後にITの力を掛け合わせることで儲かる農業を締めくくる。
現在、ITの力で農業界を変えるべく、「食べチョク」という産直販売サービスや「農mers」という人材マッチングアプリが台頭している。
ITの力を「ソーラシェアリング×貸農園」に掛け合わせることで、会員制農園システムを構築する。
サービス内容は、アプリでユーザーが家からでも生育状況を確認できるというもの。
農園管理は全てスタッフが担い、収穫時にユーザーは農園へ訪問し、自由に新鮮な野菜を持ち帰るという仕組み。
会員ステージはいくつかの価格帯を準備して、ステージごとに収穫対象区域が定まる。
最近では、アプリ構築のハードルはどんどん下がっているので、数万円の資金で短期間にサービス構築が可能。
 
このように農業にあらゆる掛け算を提案することで儲かる農業を実現す事業を実現化していきたい。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。

農業はインフラ産業~農作物だけではない農業の可能性~

昨日は「農業は農作物を作るだけではない」をテーマにソーラーシェアリングを紹介した。
今回は「ソーラーシェアリングは地域のインフラとしての機能を果たし、SDGsとの親和性も高い」をテーマに綴る。

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ソーラーシェアリングの可能性
 
目次

 

SDGsとの親和性の高さ

17の目標のうち、少なくとも下記の7つには該当すると考える。
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを
13.気候変動に具体的な対策を
17.パートナーシップで目標を達成しよう
ソーラーシェアリングは農作物を作る上に、クリームなエネルギー供給にも貢献するためこれからの時代に適していると考える。
一方で、巨額投資が必要な事業だが、利益はそこまで大きくないため、地域のインフラとしての付加価値に着目して広げていく必要があるかもしれない。
 

地域のインフラとしてのソーラーシェアリング

SDGsの「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「13.気候変動に具体的な対策を」に着目。
今回訪問した「つなぐファーム」がインフラとしてのソーラーシェアリングを意識し始めたのは、2019年9月9日に大型台風が千葉を襲ったことがきっかけ。
当時、災害によって地域で停電が相次ぐ中で、「つなぐファーム」は太陽光発電しているものの、何も貢献出来なかったという苦い経験がある。
もちろんそのときは、電力会社も稼働しておらず、売電自体も出来ず、電力は垂れ流しであった。
その悔しい気持ちをバネにして、現在では、自家発電で電気自動車や草刈り機のような電動農機具を導入し、地域の停電対策にも力を入れている。

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自家発電用の太陽光パネル
これからは「災害時におけるバックアップとしてのソーラーシェアリング」というキーワードで市役所へ提案していくと考えられる。
 

地域住民の巻き込みもキーワードに

SDGsの「3.すべての人に健康と福祉を」「11.住み続けられるまちづくりを」に着目。
ソーラーシェアリングの持続可能性を考えると、地元の方々の協力で地域一丸となることが不可欠。
ただ単に、電気と農作物を売るだけではなかなか事業は続かない。 
「つなぐファーム」では定期的にジャガイモの植え付けや収穫祭のようなイベントを定期的に実施している。
これからは地域の方へ、畑の区画貸しや年パスのような形式で収穫し放題を提供することを考えているとのこと。
「地域の方々が集う場としてのソーラシェアリング」はこれからの新しいテーマ。
実は、来月の6月21日は「太陽光発電の日」として、北半球で一年の中で日照時間がいちばん長く、太陽の恩恵をいちばん受ける日である。
そんな記念日とも掛け合わせながら、認知度や存在感を高めていくことが重要。
私自身も、地域のインフラや教育の観点でソーラシェアリングを広げていくお手伝いをしていきたい。
 
次回は「ソーラーシェアリングにシステムを掛け合わせる」をテーマに綴るので楽しみにしていてください!
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

農業は農作物を作るだけではない? 絶対に不可欠な○○も一緒に作る農業

みなさんは「ソーラーシェアリング」という言葉をご存知でしょうか?

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新たな農業スタイル
農業は農地で農作物を作って販売することが一般的だが、電気を一緒に供給するビジネスモデルが存在する。
今回はそんなソーラーシェアリングを2017年から事業化している「つなぐファーム」を訪問。

www.tsunagufarm.com

目次

 

右肩下がりの売電価格と右肩上がりの許可件数

ソーラーシェアリングの元となる技術は今から20年ほど前から存在。
しかし、農地に太陽光発電設備を設置することに対して農林水産省は許可するまで時間を要した。
なぜなら従来の法律では「農地を農業以外の用途に使うことができなかった」からである。
今でも農地に太陽光発電設備を設置するためには許認可申請が必要であるが、全国に拡大していき1000件を超える。
一方で、売電価格は2021年現在では、2013年に比べて半値であり、毎年の下落基調は止まらない。
発電事業の新規参入に関してはそろそろ転換を迎えているのかもしれない。

ソーラーシェアリングNo.1の○○県

ソーラーシェアリングの許可件数No.1の県は実は千葉県である。
許可件数件数としては既に300件を超える。
千葉でソーラーシェアリングが活発な背景には「つなぐファーム」の親会社である「千葉エコ・エネルギー」の存在が大きいと考える。
当社は匝瑳市において恐らく日本一の規模のメガソーラーシェアリングに投資。

agrijournal.jp

メガソーラーシェアリングには3億円を超える総投資額だが、年間の売電収入だけで約4700万円であるため、10年程度で投資回収できると予想できる。
当社の方針としては、自社で事例を作りながら新規参入者のサポートを担う。
 

ソーラーシェアリングに参入する3つのパターン

ソーラーシェアリングの特徴は必ずしも、発電設置者と営農者が同一でない点である。
そのため、事業パターンとして下記の3つが存在する。
1.電気だけ作り、農作物は作らない
2.農作物と電気を作る
3.農作物だけ作り、電気は作らない

実は、「つなぐファーム」では1~3の全てを担った経験があり、その点が当社の大きな強みである。当社の経験を踏まえてそれぞれを簡単に説明する。

1.電気だけ作り、農作物は作らない

先ほど紹介した、匝瑳市のメガソーラーシェアリングがこのパターンである。
太陽光パネルにだけ投資して、農地管理は別の会社が担う。
農地管理は有機農業の経験のある若手集団により結成された「Three little birds」が担い、広大な土地で大豆や麦を生産する。
メガソーラーシェアリング事業に関わりながら、農地管理の可能性を見出し、農業法人「つなぐファーム」設立に至ったと予想できる。
 

2.農作物と電気を作る

今回訪問した、千葉市にある「つなぐファーム」が運営する圃場が正にこのパターンである。
2017年から1ha規模での栽培を開始し、現在ではジャガイモやニンニクやナスやレタスなど多種多様な作物を生産。
ここで培ったノウハウや経験を今回いろいろとお伺いしたので後段で説明する。

3.農作物だけ作り、電気は作らない

「つなぐファーム」は上記の経験を踏まえて、営農者として太陽光パネルには投資せずに農作物の生産を請け負う。
このスキームのメリットは、農作物の販売収入と発電設置者が支払う交付金の2つの収入源がある点。
このように、3つのパターンの事業を推進する中で、新規参入者のサポートを担い、ソーラーシェアリングを普及させていくことを目標としている。

 

露地栽培でも施設栽培でも無い新たな栽培ノウハウ

ソーラーシェアリングにおける栽培の特徴は何と言っても、農地の上に太陽光パネルがあるため、影ができてしまう点。

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太陽光パネルのすき間に差し込む光
遮光率の観点から比較すると、
「露地栽培」だと作物の上には何もないため、遮光率0%
「施設栽培」だとハウスを覆うビニールの汚れや鉄パイプが陰となり、遮光率10~20%程度
「ソーラーシェアリング」はパネルの間隔にもよるが、遮光率40~50%程度
また、施設園芸とは異なり、周りがビニールに覆われていないため、基本的に温度・湿度・CO2のような環境制御は無い。
そのため、露地栽培や施設栽培とは環境や条件が異なるため、栽培作物の選定や栽培方法が大きく異なる。
「つなぐファーム」では3年以上の栽培経験を踏まえて、独自のノウハウを築き上げ、圃場のいたる所に工夫があった。
例えば、遮光率が高いことで、晴れていても土壌の渇きが遅いため、水を好むレタスやナスのような作物を選定する。
また、雨が降って止んだ後に太陽光パネルから滴る水滴による「泥はね」防止のために防虫ネットを使う。
様々な作物を試行錯誤しながら育てて課題を追及し続けたからこその他には無い工夫が詰まっていた。

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堆肥は緑肥でまかなう
今後はそんなノウハウを武器に新規でソーラーシェアリング事業に参入する方々をサポートしていくことが目標である。

 

次回は「SDGsとの親和性」や「災害対策」をキーワードに綴るので楽しみにしていてください!
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
 
 

農業は儲かるのか?~ユダヤ人大富豪の教え~

「農業って最近、テレビやメディアで注目されているけど儲かるの?」

私自身、最近、こういった質問を受けることが増えている。

恐らく、ベンチャー企業による農業分野への参入が増加して、新たな仕組みで農業課題を解決するサービスが増えていることが背景にあると考える。

そこで、今回は「農業は儲かるのか?」をテーマに綴る。

 

目次

 

儲かるかは農業の捉え方次第

私の見解では、「農業を製造業」として捉えて、農作物を生産して売るという考えでは儲からないと考える。

一方で、「農業をサービス業」と捉えて、コアとなる顧客を喜ばすことに専念すれば、儲かる農業を必ず実現できる。

 

ユダヤ人大富豪はコアファンを大事にする

みなさんは「ユダヤ人大富豪の教え」という本を読んだことありますか?

この本は、ベストセラー作家の本田健さんが2003年に執筆した著書で、既に100万部を突破している。
私自身、ことあるごとに何度も読み返しているバイブルである。
本書の内容は、主人公のケンがアメリカに行き、ユダヤ人大富豪の老人との対話をもとに展開していく。
老人は自身の経験をもとに、ケンとの対話と実務を通して大富豪のマインドを育む。
その中で、大富豪になるための「営業」に対する考えが紹介されている。
重要点はいかに、核となる顧客を見つけて、その顧客を逃がさないことである。
一度、核となる顧客を作れば、その顧客の口コミで営業をしなくても売れ続ける仕組みができる。このサイクルに乗ればトップセールスになれるというものである。
これが大富豪になるための肝である。
ケンは、この考えを体現するために、電球1000個を1ドル以上の価格で3日以内で売るという試練を乗り越える。

農業をサービス業として展開するために

では、農業を製造業ではなくサービス業として、どのように核となる顧客を獲得して、価値を提供するべきか?

郵便局で飛ぶように売れるトマトを作る農家

ここで、山口県宇部市でトマトを生産する農家さんを紹介する。
その農家さんは生産したトマトをスーパーではなく郵便局で販売している。
郵便局ではトマト以外の農作物を売っていないにもかかわらず、顧客はトマトを買うためだけに開店前から並んでいる。

最近では事前に整理券が配られるほどの賑わいぶりである。

私自身、郵便局で飛ぶように売れているトマトの様子を写真で撮っていたら、常連の顧客に「これ以上情報を広めないで欲しい」と警告されたほど顧客は熱狂している。

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こだわり抜かれた絶品トマト
顧客に並んでまでして買う理由をヒアリングしたところ、「食べるのは自分だけでなく、孫や家族と美味しさを分かち合えるトマトだから」とのことであった。
特に、常連の顧客からは、トマトの詰め合わせを友人や知人のところに直送したいという依頼もよくある。

人に紹介したくなる厳選の完熟新鮮トマト

なぜ、ここまで顧客の心を掴んで離さないトマトが存在するのか?
トマトを生産する農家さんは、トマトを出荷するにあたり、美味しいトマトを作るのはもちろん厳しい出荷基準を設けている。常人では分からない、色味や形を目で判断して厳選したトマトのみを出荷している。
また、一番美味しい完熟で新鮮な状態で提供するために、採れてから24時間以内に顧客に届くように徹底している。
この厳しい独自の出荷基準と最高の状態で届けるというこだわりによって、顧客が家族や友人に紹介したくなるトマトとして売れ続けている。
いいものをプレゼントすると、受け取った人はもちろん、プレゼントした人も嬉しくなるところがこのトマトのサービスであるかもしれない。
実は、プレゼントは貰う人より贈る人の方が幸福感が高まるという研究結果もある。
 

ファームコダワリーではギフト用農産物のみを扱う

現在、新サービスとして 「ファームコダワリー」というこだわりの一品のみを扱うプラットフォームを立ち上げている。
 
今回紹介したトマトのように、限られた農産物のみを扱うため、購入者は「招待制」として、知っている人だけが登録できる仕組みとする。
そして、購入者は贈答用として、大切な家族や友人のために購入することができるサービスに育てていく。
既存のサービスとの差別化は、「出品・購入手数料ゼロ」「市場には出回らない一品を扱う」ところである。
マネタイズのポイントとしては、「ファームコダワリー」に出品頂く農家さんへの農業や作業の効率化に繋がるシステム導入であったり、こだわりの購入者に対する広告提供による収入を考えている。 
 

まだまだある「儲かる農業」

農業を「サービス業」として捉え、コアファンを増やしていくことが儲かりのポイントである。
私のブログ内でも儲かる農業を実現する農家さんを紹介しているので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。

villagehunter.hatenablog.com

villagehunter.hatenablog.com

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

農家さんから直接買うときの壁は○○

家に居ながらワンクリックで欲しいものを注文する時代。

しかし、農作物をワンクリックで買うことはまだまだ一般的になっていない。

農家さんから農産物を直接買った方が新鮮で美味しいのに、なぜ未だに一般化できていないのか?
今回は 「農作物の産地直送が普及しづらい理由」をテーマに綴る。

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産地直送が普及しない理由

目次

 

産直農作物が普及しづらい理由

コロナ禍を追い風に外出が減り、おうちごはんの機会が増えた結果、食材にこだわる人がどんどん増えている。
農家さんもECサイトを手軽に作れる仕組みや食べチョクのようなプラットフォームが普及したお陰で、市場を通さずに直接、購入者へ販売しする方が増えている。
しかし、まだまだ一般化されていない理由は大きく2つある。
それは、①農家さんの手間と、②右肩上がりの物流費である。
 

1.意外と手間がかかる個配用の荷造り

一般的に青果市場やスーパーに卸す場合は、規格を揃えて、同一の品種ごとにドカッとまとめて箱詰めする。
一方で、ECサイト経由で各個人の顧客から注文を受けると、農産物は出荷先ごとに異なることが多々ある。すると農家さんが収穫した農産物を、一つ一つ丁寧に分類して梱包する必要がある。
旬の野菜の詰め合わせなど、農家さんによっては商品数を絞って販売する場合もあるが、出荷先が複数にまたがると配送日数もバラつき管理は複雑化する。
 
自動仕訳や荷造りを自動化する機械を導入すれば話は別だが、個人で買って投資回収出来るような代物は今のところ存在しない。

2.無視できない物流費

また、各家庭に直送する場合、物流費は市場経由でスーパーへの販売に比べてかなり高くなる。
例えば、ヤマトのクール便の場合、トマト10玉を個人に送るため、60サイズの小さい箱を使っても1000円以上かかる。
10玉で割ると、一玉100円以上かかって、卸売市場を通してスーパーまで送る費用と比べると10倍ほどかかる。
この費用を負担するのは、結局は購入者である。
 

産直の一般化に向けた課題解決のために

では、産直直送で届けるには、農家さんは手間をかけて、購入者は割高な費用を負担しないといけないのか?
ここで、2つの可能性を感じる解決策を紹介する。
それは、「やさいバス」「自動配送ロボット」である。
 

有りそうで無かった「やさいバス」

みなさんは「やさいバス」というサービスを聞いたことがありますか?
仕組みとしては、農家さんはやさいバスが指定する近所の野菜専用バス停まで野菜を持参すれば、購入者の近くにある専用バス停まで運んでくれる。
バス停の特徴は、道の駅や卸売業者の倉庫などがあり、驚くことにスーパーも含まれている。
そのため、スーパーも「やさいバス」に乗ってきた新鮮な野菜を取り扱う。
「やさいバス」というサービスは有りそうで無かった仕組みであり、現在2021年時点では全国10か所に展開。
今後も日本全国に広がっていくと予想できる。

近い将来は自動配送ロボットが活躍する時代

さらに将来的には、ロボットによる自動配送が活躍する日も近いと感じる。
実は、岡山と茨城では既に実証実験もスタートしている。
「Loogia」というシステムを組み込まれたロボットが自身で最適なルートを弾きだして、集荷と配送を担う。
実証実験段階ではあるが、実用化すれば、一般的な物流はもちろん、農業界も大きな恩恵を受ける、
実は、農家さん自身が配送に多大な時間をかけることもあるため、配送時間が無くなれば、生産管理に注力でき、農業が儲かる産業に育つ可能性を秘める。
それだけ、農業において物流は大きな役割を占めている。
新鮮な農作物を安価に手に入れたい私たちとしても、物流課題の解決はとても大きな恩恵を受ける。
 
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。

有機農業の可能性とは!?~2050年までに日本全体の有機農地を25%に~

みなさんは日本の農地全体に対する有機農地の割合はどのくらいかご存知でしょうか?
先日、農林水産省は、化学肥料や農薬を使用しない有機農業の面積を2050年までに25%の100万ヘクタールまで拡大することを目標に掲げた。

有機農業を農地の25%まで拡大へ 脱炭素で2050年までに 農水省 | 環境 | NHKニュース

しかし、現状の有機農業の面積は、なんと全体の「1%」にも満たない状況である。
そんな現状から30年間で25%まで拡大することはそもそも可能なのか?

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有機農業の可能性
目次

有機農業が広まらない3つの理由

私の見解では、今まで通りの仕組みのままで進めていても到底無理だと考える。
その背景としては、有機農業は一般的に、①時間がかかり、②原価が高くなり、③収量が減るからである。
それぞれ簡単に説明する。

1.有機農地にするまで時間がかかる

有機農地」という認定を農水省から受けるには作物によっては3年間かかる。
そのため、仮に明日から有機農業を始めようと思い立っても、過去に化学肥料や農薬を使った農地の場合、転換期間が必要。
その間にできた作物は有機栽培とは認められず、付加価値もなく、一般の作物と一緒くたになってしまう。
もちろん、個人でブランド化して高付加価値作物として高単価での販売が可能であれば利益が出るかもしれない。
しかし、ブランドも有機農地と認められるまでに時間がかかるのと同様に一朝一夕にはいかない。

2.農業資材が割高で収量が減る傾向

大量生産・大量消費を支えてきた「化学肥料」や「化学農薬」は大きな貢献を果たした。なるべく短い期間に多くの収量を上げるためには、化学肥料による土壌改良は欠かせない。また、広大な畑に育つ大量の作物を、虫食いや病気から予防するためには化学農薬も必要。
作物にもよるが、この化学肥料と化学農薬が農作物の原価に占める割合は10%にも満たないことが多い。
一方で、有機資材として、天敵を使った虫対策や菌資材を使った病気対策は化学生産物と比べて割高である。
さらに、化学肥料は無機物質がほとんどのため、作物に必要な成分を安定して供給できるため収量も安定する。
一方で有機資材は、動物の排泄物を原料にするため、成分の大半が有機物質であり、どうしても成分や品質にバラつきが発生してしまう。
その結果、原価は上昇し、収量も減少してしまう。

3.手間がかかるが収量が減る傾向

有機農業を実現する中で一番の敵は、実は、虫でも病気でもなく「雑草」である。
雑草を生やしたままで栽培する農家もいるが、デメリットは、作物に必要な栄養や水分を横取りされる上に、太陽光を遮る影響がある点。
そのため、基本的には、雑草を取り除くことが求められる。
除草剤のような、化学農薬を使えば死滅させることは可能だが、有機資材で除草するアイテムは私自身知らない。
抑草資材を散布して雑草の根の成長を抑制することが可能だが、どうしても草刈りは必要になる。
そこまで手を加えて除草をしても有機栽培で生産すると、2.でも説明したように収量が減少する傾向がある。
 
以上のように、有機農業は化学物質を活用する慣行農業に比べて、あらゆる面で不利である。そのため、多くの人にとっては儲かりづらい有機農業は参入し辛く、日本においては日本全体の農地において1%にも満たない状況が続いている。
 

有機農業の可能性

では、有機農業は儲からないため永遠に普及しないのでしょうか?
答えはもちろん「No」である。

その理由は、有機栽培で儲かる農業を実現している農家も存在しており、新たな技術もどんどん出てきているからである。有機栽培の農作物に対するイメージも高まっているので仮に慣行農業の農作物と販売価格を同等レベルにまで落とすことが出来れば、市場をひっくり返す潜在能力はある。

今回はそんな潜在能力を体現したような、「ムスカ」と「ふしちゃんファーム」という2つの会社を紹介する。

ハエが技術革新の切り札

みなさんは「ハエ」と聞いてどのようなイメージがありますか?

ハエというと、「汚い」「気持ち悪い」「病気を媒介する」などネガティブなイメージが強いのが一般的である。

そんな、「嫌われ者」のハエを活用して、有機肥料を生産するベンチャー企業を紹介。

その会社名はムスカ(MUSCA)」である。社名の由来である「ムスカ・ドメスティカ」は「イエバエ」の学名である。
当社はイエバエに命をかけて事業を創造している。

この会社の特徴はなんと言っても、45年間にもわたって1100世代以上、品種改良し続けた“最強のイエバエ”を持っている点である。

このイエバエを活用するアイデアに着目したのは旧ソ連であり、起源は今から半世紀前に遡る。
国家プロジェクトとして、宇宙船内でのバイオリサイクルにハエを活用する技術開発であった。宇宙船内で宇宙飛行士の排泄物をハエが分解して資源に変えることにより、循環する仕組みの構築に挑戦。
しかし、そんな夢のある研究はソ連崩壊により頓挫してしまう。
その技術に目を付けたある日本人が権利を買い取り、1990年から日本国内での研究に繋げる。
そこから品種改良を繰り返し続けて、2016年にようやく量産化の目途が付いたため遂に事業化に踏み出す。

ハエの分解スピードは超高速で「飼料」と「肥料」が生産される

技術のポイントは、牛や豚のような畜産の排泄物をハエの幼虫が食糧として物凄いスピードで分解して、ハエの幼虫の排泄物が肥料になる。
さらに驚きなのは、大きくなった幼虫は飼料として魚や畜産の餌になるという何とも循環型社会を体現したような仕組みである。

現在、ムスカは事業化に向けた実験段階のため、スケール化はこれからである。
数年以内には、イエバエ工場の畜産地域に建設していき、排泄物を有機肥料に変える仕組みをどんどん構築していくことが予想できる。
すると、有機肥料のコスト低下にも繋がり、有機農地の土づくりを加速化させる可能性を秘めている。

冷蔵設備への積極投資による在庫コントロールがカギ

次に「ふしちゃんファーム」という茨城県有機農業を行う2015年に設立された会社を紹介する。
この会社は、こまつなやほうれん草など6種類の葉物を1ヘクタール規模のハウスで栽培している。
実は、この会社はコロナ禍や悪天候ももろともせず、売上を堅調に伸ばしている注目すべき会社である。
就農3年目は3000万円の売上が、6年目になる2020年には、なんと売上8000万円まで伸ばして1億円までもう少しのところまできている。
なぜ儲かり辛い有機農業において、逆境をもろともせず右肩上がりの成長を実現しているのか?
それは、栽培作物の鮮度保持のための冷蔵設備に積極的な投資をしていることにある。
冷蔵設備を導入した結果、収穫後3週間、鮮度を保つことができて、販路先をじっくり選定することが可能。
一般的に、葉物野菜は収穫後3日も経てば、萎れてしまうため売り物にならない。
そんな常識を大きく打ち破り、鮮度を維持する設備を自社で持つことで、コロナ禍で激減した外食チェーンや給食への出荷を、ECのような直販やスーパーのような小売店に機動的に切り替えた。
その結果、売上の単価を向上させて、窮地を乗り越えた。
有機農業を推進するためには、原価がかかり、収量が減る傾向のある農作物の鮮度を維持させて、売れ残りを減らす工夫がかなり重要である。

有機農業は工夫次第で儲けることは可能で伸びしろは大きい

もちろん、今まで通りの仕組みのままで、全てを農家に任せて農業を推進しても有機農業は普及しない。
というのも、今回紹介した2社もそうだが、新たなことを始めるにはどうしても投資が大きくかかってしまう。
農水省としても、「2050年までに25%の100万ヘクタールまで拡大すること」を目標に掲げたからには可能性のある技術や設備への積極支援は不可欠。
恐らく、目標を掲げたからには、今までとは比べ物にならない予算は取ることは予想できるため、これからの有機農業に可能性は感じている。

農業コンサルとしてできること

今回紹介した企業以外にも数多くの企業が新たな技術やサービスを手掛け始めている。
私自身、農業コンサルとして活動しているため、有機農業参入のお問い合わせを頂くこともこれから増えてくることを予想している。
今のうちからできることとして、ITや新技術で有機農業の仕組みを作れる企業と繋がり協業できる体制づくりを進めていく。
有機農業×IT×コンサル」の肩書を持てるよう、引き続き、情報発信を続けていきますので、応援頂けると幸いです。
 
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

【知ってトクする】これから独立する人へ!家から動かず営業できる時代

今回、私自身がコロナ禍をきっかけに独立して、人と繋がる際に重宝しているオンラインのサービスを紹介。これから独立する方や、独立したばかりの方にとって有益な情報となると思うので一読頂けると幸いです。 

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これからの独立する方は必見!


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オススメサービスまとめ

今回は大きく下記の3つのカテゴリで紹介する。

  1. ビジネス用マッチングアプリ
  2. 公募サービス
  3. 音声メディア

まずは、一つ目から順番に説明していく。

 

1.ビジネス用マッチングアプリ

まず紹介するのはビジネス用マッチングアプリである。

マッチングアプリと言えば、恋人探しの分野で有名なPairs(ペアーズ)が頭に浮かぶ方多いと思うが、現在は様々な領域に派生している。

そこで、ビジネス用マッチングアプリとしてオススメのサービスであるバーチャルランチクラブ(VLC)とYentaを紹介する。

特に、VLCは、5000人規模の会員がいるプラットフォームで、条件を入れてキーワードに引っかかる人と繋がりを申請できる。

バーチャルランチクラブ - いつか一緒に仕事できるかもしれない人とオンラインで15分だけ話してみよう

このサービスの特徴は、お互い申請を承認しあえば、VLCが提供する独自のテレビ会議システムで会話ができる。

私自身、このツールをもとに、現在立ち上げているIT農人(イートノート)に関わって頂けるメンバーと繋がることができた。

villagehunter.hatenablog.com

 

その方はデザイナーとしてフリーランスで活動されている方で、空間デザインを得意としている。

そのため、その方にはIT農人で新規でスタートする、「ミドリターン」という移住・就農支援サービスの一環で空き家のモデルルーム化で関わって頂く予定である。

 

2.公募サービス

次に紹介するのは、bosyu.meやZeroneという自由な公募により共感者を募るサービスである。公募サービスの利点は、無料で公募をかけて、興味のある人を募ることができるところ。

特に、「Zerone」というサービスは最近リリースされたサービスであり、新サービスの仮説検証としてもかなり有用である。zerone.cc

prtimes.jp

 

今回、私自身、移住・就農を考えている人を募集した。

その結果、既に地方に移住している方と繋がることができた。

その方は、山の売買をきっかけに昨年、地方にIターンで移り住んだという経験を持つ方であった。

Iターン経験者、かつ、会社経営をされているということもあり、知識の幅が広く普通では聞くことのできないお話をたっぷりと聞くことができた。

新たなサービスの立ち上げのメンバー探しや潜在顧客へのヒアリングには公募サービスもオススメである。

 

3.音声メディア

最後に紹介するのは、言わずと知れたClubhouseやStand.fmという音声メディア。

音声メディアの利点は気軽に配信をすることで思わぬ出会いを得られる点である。

私自身、毎週火曜日にClubhouseにて「スマートファーマー」というルームでモデレーターとして参加している。

継続しているおかげで、現在では日本全国のアンテナの高い農家さんと繋がっている。

最近では愛知のトウモロコシ農家や埼玉の元イチゴ農家やベトナムで新規で農業事業を立ち上げている方と繋がる。

特に、愛知のトウモロコシ農家さんに対してはシステム提案をした。

システム提案の背景には、直売所から送られてくるデータ管理を自動化したいというニーズがあった。

というのも、直売所から送られてくる情報は時間帯ごとの売れ行きデータだけであり、在庫数が全く見えない。そのため、簡単なシステム構築により、直売所における在庫の見える化を実現する。

現在はテスト開発ということもあり、システムを作ったお礼として、アスパラガスやソラマメを頂くことになる。

 

家で人と繋がれる時代

お気づきかもしれないが、今回紹介したサービスはどれも在宅で人と繋がるきっかけを作るサービスである。

コロナ禍の影響もあり、家に居ながら新たな人と繋がることができる時代はとてもありがたい。

もちろん、オンラインだけだと、希薄な関係に陥るリスクがあるので、タイミングを見計らってオフラインで会う機会も作り、関係を強めることは必要である。

ぜひ、これから独立する、もしくは独立したばかりの方は今回のサービスを試しに使ってみて欲しいと思う。

使い続けていくと新たな出会いが見つかることを保証します。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。